米国時間10月15日、フランスの大富豪ベルナール・アルノーの純資産は、彼が率いるモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン（LVMH）の株価が14％以上急騰したことで190億ドル（約2.88兆円）以上増加した。同社は四半期決算で、今年初めて売上高が増加に転じたことを報告した。背景には、中国市場での需要拡大がある。
15日のパリ市場午後の取引で、LVMHの株価は14.36％上昇し、609.20ユーロの値をつけた。CNBCによれば、この上昇率はLVMH株にとって過去20年以上で最高となる見通しだという。
LVMHの2025年度第3四半期の売上高は前年同期比で1％増加し、市場予想を上回る182億8000万ユーロ（約3.2兆円）となった。
同社のセレクティブ・リテーリング部門が最も好調で、その売上高は7％増を記録した。LVMH傘下の化粧品小売大手セフォラが「持続的な収益成長」を見せたことが寄与した。また、ワイン＆スピリッツ、香水＆化粧品、時計＆宝飾品の各部門も、それぞれ前年比1％、2％、2％の成長を示した。
フォーブスの推計によると、LVMHの会長兼CEOであるベルナール・アルノーの純資産は15日の朝時点で1818億ドル（約27.5兆円）に達しており、過去24時間で193億ドル（約2.92兆円）以上増加した。これにより、アルノーはForbesの『リアルタイム長者番付』で世界第7位となり、非米国人の中では最も高い順位に位置している。
LVMHの時価総額は3048億9000万ユーロ（約54兆円）となり、15日の株価急騰を受けて欧州で第2位の企業価値を誇るとともに、競合のエルメスを背に世界で最も価値の高い高級ブランドとなった。
決算発表に付随するプレスリリースによれば、欧州と米国での業績は前年と比べて安定していた一方、日本市場は減少した。ロイターによると、中国が中心となるアジアその他の地域では「顕著な改善」が見られたという。決算説明会でLVMHのCFOは「中国本土市場は第3四半期にプラスへ転じた」と述べた。
