バリーズは約6000億円投資を提案、カジノと統合型リゾートを建設
バリーズ・コーポレーションは、ブロンクスのフェリーポイントにある自社のゴルフ場「バリーズ・ゴルフ・リンクス」に隣接する約6万5000平方メートルの敷地に、カジノと統合型リゾートを建設する総額40億ドル(約6000億円)規模の投資計画を提案している。
同社を率いるスー・キム会長は、クイーンズ出身でニューヨークに拠点を置くヘッジファンド、スタンダード・ジェネラルの創業者だ。バリーズはすでに全米11州で19のカジノを所有・運営しており、シカゴに新たな施設を開業したほか、ラスベガスでは旧トロピカーナ・ホテル跡地にオークランド・アスレチックスの新球場を建設する計画も進めている。
ブロンクスでの構想では、高さ約76メートル、延べ床面積約28万平方メートルのカジノ施設を建設し、スロットマシンやその他のゲーミング機器を3500台、テーブルゲームを250台、さらにポーカールームを設ける計画だ。提案には、500室の高級ホテルや飲食・エンターテインメント施設、2000人収容のイベントセンター、会議スペースなども含まれている。
バリーズ・ブロンクスの年間収益は10億ドル(約1500億円)を超え、州には年間2億ドル(約300億円)以上の税収をもたらすと見込まれている。さらに免許を獲得した場合、同社は年間2750万ドル(約41億円)を地域への投資に充てることを約束している。
「これは、ゲーム業界における史上最大の“賞”になる可能性がある」と、スー・キムはフォーブスに語った。「ニューヨークは、業界の勢力図を塗り替える存在だ。事実上、あらゆるカジノ企業がこの免許を競い合ってきた。そして最終的に残った4社のひとつになれたことはとてもエキサイティングだ。これらは全米でも最大規模のカジノになるだろう」
メディアは、バリーズが免許を獲得した場合にトランプ・オーガニゼーションが1億1500万ドル(約173億円)の“棚ぼた”を得る点に注目しているが、自身も老練なディールメーカーとして知られるキムは、すでに自社の取引は成功だったと語る。
「我々は、この街も当社もより良い取引を得られたと考えている」とキムは言う。「彼(トランプ)は初めて大統領になる前からこの土地を所有していた。ただし、今回の取引は彼への支持を意味するものではなく、15年以上前から彼が保有していたリース権を正当に購入しただけだ」と彼は続けた。
MGMリゾーツ
(※:MGMはニューヨーク州ゲーミング委員会へのカジノ免許申請を撤回。以下の内容は撤回前の提案に基づく)
MGMリゾーツ・インターナショナルが所有する「エンパイア・シティ」は、マンハッタンの北約45分、ヨンカーズに位置するレーシノだ。スロットマシン4600台と競馬場を備え、かつて名馬シービスケットが走ったことでも知られる。同施設は昨年、6億400万ドル(約906億円)のゲーミング収益を上げた。
世界で31のカジノを運営し、昨年の売上高が172億ドル(約2.6兆円)に達したMGMリゾーツは、2019年にヨンカーズ競馬場内のエンパイア・シティ・カジノを買収。現在、総額23億ドル(約3450億円)の再開発プロジェクトを提案している。そのうち18億ドル(約2700億円)は既存施設の刷新に充てる予定だ。また、新たに約1万5100平方メートルを開発し、5000席規模のエンターテインメント施設や約860平方メートルの会議スペースを設ける計画だ。MGMによると、総面積約8万平方メートルの施設は年間最大13億9000万ドル(約2085億円)のゲーミング収益を生み出す見込みだ。
「市場投入までのスピード、国際的なブランドロイヤルティ、そして隣接州へ流出しているエンタメ支出を呼び戻せる地の利──これらが当社の提案の主要な競争優位性だ」と、MGM北東部グループのルイス・セロス社長は語った。


