ソロスのOSFは、人権擁護や民主化を支援する財団
OSFは、世界各地の助成団体や調査プロジェクト、政策提言活動を束ねるグローバルネットワークとして機能しており、その資金は主に、人権の擁護、公平性の促進、司法改革などに取り組む大小さまざまな団体に充てられている。
ソロスが1979年に設立したこのOSFは、人種隔離政策が続いていた時代の南アフリカで、黒人学生への奨学金支給を始めた。OSFは、1980年代を通じて、共産主義下の東欧で情報と交流の自由を広げる活動にも資金を提供した。
近年では、ヨーロッパでの民族差別の是正、南米でのグリーン経済の推進、そして米国での女性の健康や投票制度改革を促進する団体への支援など、幅広い分野に数百万ドル(数億円)規模の助成を行っている。2023年には、ジョージの息子アレックス・ソロスがOSFの運営を引き継いだ。
抗議デモの資金源という、根拠のない陰謀論
過去10年間、SNS上では「ソロスが2016年のトランプ当選後の抗議デモや、同年および2020年のブラック・ライブズ・マター(BLM)運動、大学キャンパスでの親パレスチナ派デモに資金を提供した」とする根拠のない陰謀論が拡散してきた。また、ソロスが「アンティファ」と呼ばれる反ファシズム運動を操っているとの説も広まっている。OSFは、実際にこうした抗議活動にしばしば参加する団体に資金を提供しているが、抗議活動そのものに資金を出している証拠は存在しない。
一方で、指導者を持たない「分散型の政治運動」とされるアンティファは、9月にトランプ大統領によって「国内テロ組織」に指定された。フロリダ州選出の元下院議員マット・ゲーツとテキサス州選出の上院議員テッド・クルーズは、過去10年間にわたり繰り返し、ソロスとその慈善活動をアンティファに結びつけ、「トランプ政権時代を通じてアンティファの抗議活動を支援した」と虚偽の主張をしてきた。
2018年にトランプは、自身が最高裁判事に指名したブレット・カバノーの指名公聴会で起きた抗議活動についても、「ソロスが資金提供している」と根拠なく非難した。最近では、ソロスを「左翼テロ」とされる行為に結びつける発言もしている。OSFは、抗議活動に金銭を支払ったり主催したりしたとの主張を繰り返し否定し、「我々は暴力的な抗議を含む、あらゆる形態の暴力に反対する」との立場を明確にしている。
OSFの累計支出は約4兆円、寄付のスケールとその実態
OSFが過去30年以上にわたって各種プログラムに支出した資金の総額は、同財団のデータによると242億ドル(約3.7兆円)に達している。OSFは昨年だけで12億ドル(約1812億円)以上を拠出しており、そのうち最も多い2億4200万ドル(約365億円)が米国向けで、続いて中南米とカリブ地域が1億1710万ドル(約177億円)、欧州と中央アジアが8370万ドル(約126億円)、アフリカが6990万ドル(約106億円)となっている。
2017年には、ソロスが自身の資産から180億ドル(約2.7兆円)をOSFに移転し、1984年以降の累計寄付額は320億ドル(約4.8兆円)を超えた。
ソロスの寄付先の多くは、民主党系の団体
長年にわたりリベラル寄りで進歩的な思想と結びつけられてきたソロスは、OSFを通じてリベラルな活動に資金を提供してきた。彼は米国では、麻薬戦争への批判を続け、同性婚の推進、移民の保護、刑事司法改革の促進、そして医療用大麻の合法化などを強く支持してきた。
2004年の大統領選でソロスは、当時のジョージ・W・ブッシュ大統領を「人種的優越主義のイデオロギーに導かれている」とし、ブッシュ政権をナチス政権になぞらえながら、「ブッシュを退任させることが自分の人生の中心的課題だ」と語っていた。
ソロスはこの選挙で、民主党系の政治行動委員会(PAC)に約2360万ドル(約36億円)を寄付し、そのうち1200万ドル(約18億1000万円)は「ジョイント・ビクトリー・キャンペーン2004」に充てられた。また、2008年にはバラク・オバマ元大統領の選挙運動や就任式基金を支援するPACの主要なドナーの1人でもあった。2016年の大統領選では、ヒラリー・クリントン陣営を支援する活動に約600万ドル(約9億1000万円)を拠出した。
近年、ソロスはトランプを「詐欺師で究極の自己陶酔者」と主張し、2021年には「トランプも中国の習近平国家主席も権力の座にいない世界のほうが、より良い世界になる」と語っていた。


