トランプが国内テロ捜査を証拠なく示唆、標的はなぜソロスなのか
トランプは、カーク暗殺事件の後、左派系団体が政治的暴力を組織しているとして、ソロスを含む過激派組織や個人に対して「国内テロ捜査」を開始すると表明した。ただし、ソロスに不正行為があったことを示す証拠は提示していない。
その後、司法省の高官が複数の米連邦検察局に対し、OSFを捜査対象とする計画を策定するよう指示したとニューヨーク・タイムズ(NYT)が報じた。これは、トランプ政権の関係者が右派の主張を繰り返し、OSFが「テロ組織や過激派による暴力に関係する団体」に8000万ドル(約121億円。1ドル=151円換算)を寄付したと主張したことを受けた動きだとされる。ただし、OSFはこれらの主張を「市民社会に対する政治的な攻撃だ」と強く非難している。
司法省がソロスの起訴を促す根拠として引用したのは、保守系の監視団体キャピタル・リサーチ・センターの報告書だった。しかしこの報告書には、OSFが法を犯すことを意図して助成金を支払った、あるいはOSFからの資金が暴力やテロ行為に使われた、という具体的な証拠は示されていない。
同センターのスコット・ウォルター会長はNYTに対し、自らの団体が「ソロスの慈善活動が犯罪を犯したという証拠を見つけていない」と語り、「司法省が自分たちの報告書を起訴の根拠に使うよう示唆したことには驚いた」と述べていた。
トランプは、過去10年間に広まったさまざまな陰謀論を支持
トランプは長年にわたり、ソロス一家を批判し、過去10年間に広まったソロスに関するさまざまな陰謀論を支持してきた。彼は2016年の最初の大統領選キャンペーンの終盤の選挙広告で、「腐敗した政治エスタブリッシュメント」に対して、自身の政権が「この国をあなた方の手に取り戻す」と訴えるナレーションとともに、ソロス、元FRB議長ジャネット・イエレン、ゴールドマン・サックスCEOのロイド・ブランクファインの映像を流した。広告に登場した3人はいずれもユダヤ系の人物だった。そのため、反ユダヤ主義に反対する団体「名誉毀損防止同盟(ADL)」および民主党のアル・フランケン上院議員(ミネソタ州選出)は、この内容が反ユダヤ的な固定観念を助長しているとしてトランプを非難した。
トランプは2023年に、元ポルノ女優ストーミー・ダニエルズへの口止め料支払いをめぐる捜査を受けた際、ニューヨーク・マンハッタン地区検事アルビン・ブラッグがソロスから資金提供を受けていると虚偽の主張をした。彼の主張の根拠とされたのは、ソロスが政治行動委員会カラー・オブ・チェンジに100万ドル(約1億5000万円)を寄付し、この団体が2021年のブラッグの選挙活動を支援するために約50万ドル(約7600万円)を支出したという事実だった。また、OSF系の非営利団体が関連団体に700万ドル(約10億6000万円)を寄付していたことも指摘された。
しかしソロスはこの陰謀論を否定し、「ブラッグとは面識がない」と述べたうえで、「右派の一部は、前大統領に対する重大な容疑よりも、自分とブラッグを結びつける荒唐無稽な理論に焦点を当てたがっている」と語った。


