（※本稿は米国時間10月11日に公開され、10月13日に更新された）。
近ごろのネットフリックス作品の出来はまちまちだ。現在の同社視聴ランキング1位の『モンスター：エド・ゲインの物語』（Monster: The Ed Gein Story）は、批評家・視聴者の双方から悲惨な評価を受けており、スコアはそれぞれ19％と55％である。しかしいま、ネットフリックスに新たな番組が登場し、はるかに高いスコアを獲得して、満点まであと数ポイントというところまで迫っている。内容もエド・ゲインとは対極に位置すると言ってよい。
『おれたちブーツ』──独創的なコンセプトの軍隊ドラマ
それが、独創的なコンセプトの軍隊ドラマ『おれたちブーツ』（Boots）である。以下があらすじだ。
『おれたちブーツ』は現在、Rotten Tomatoesで批評家スコア91％、視聴者スコア85％という高評価となっている。ネットフリックスでは初登場5位にランクインしており、他作品の順位が下がるにつれて、ここから上がっていくかどうかは注目である。ミニシリーズではなく、一般に名の知れたスターがほとんど出演していない低予算シリーズとして、続編が作られやすい部類かもしれない。
主演はマイルズ・ハイザー。ネットフリックスファンの一部には『13の理由』（13 Reasons Why）でアレックス・スタンダールを演じ、4シーズンにわたって出演していたことでおなじみだろう。最大の有名どころは『死霊館』で知られるヴェラ・ファーミガだが、彼女が主人公の母親としてどれほど出番があるのかは定かではない。おそらく相応の比重はあるはずだ。クリエイターはAMCで2シーズン放送された好評作『パンテオン: デジタルの神々』（Pantheon）の脚本家、アンディ・パーカーだ。
見込みは十分にあり、比較的無名のキャストでも面白そうな企画であればゴーサインを出すという、ネットフリックスがうまく判断したタイプのシリーズに見える。小規模なヒットになる可能性もある。『おれたちブーツ』は配信開始からまだ2日しか経っておらず、各種指標はなお集計中だが、この種の作品は、莫大な予算をかけたシリーズに比べて成功のハードルが低く、むしろ長く続くことが多い。
本作は比較的見やすく、約40分のエピソード全8話で構成されている。なお、ネットフリックスの一部シリーズで見られる、シーズンを前後編に分けて別日程で配信する方式ではない。少なくとも、ネットフリックスはまず視聴者層を確立したいと考えるため、シーズン1でそれを行うことはない。その後の分割配信を行うかどうかは、『YOU ー君がすべてー』（You）や『ウェンズデー』（Wednesday）のように、シリーズの規模次第で決まる。
著者も『おれたちブーツ』は見てみるつもりだし、あなたもそうしたくなるかもしれない。
Rotten Tomatoesで批評家スコア91％、視聴者スコア85％
（※以下、米国時間10月13日に追加）
配信後数日たった『おれたちブーツ』の状況を改めて確認したところ、このコメディについては口コミが広がっているようだ。ネットフリックスのトップ10チャートでは3位まで上昇した。興味深いことに、レビューが増加しているにもかかわらず、Rotten Tomatoesの批評家スコア91％と視聴者スコア85％はまったく変わっていない。さらに、十分な本数のレビューが集まったことで、いまや公式に「Certified Fresh」のバッジが付与された。否定的なレビューは合計で2件のみである。
著者も視聴を始めたが、かなり良い出来だと感じている。マイルズ・ハイザーの演技は素晴らしく、『13の理由』で助演にとどまっていた時よりも、今回は明らかに見せ場が多い。主演として、本作の文脈において彼に非常によく合った役どころに思える。とはいえ、まだ3話までしか見ていないため、この先の展開や、最終的にうまく着地するかどうかは分からない。
ネットフリックスがシーズン2を承認するにはまだ早い段階だが、この調子であれば、今月中に更新が決まってもまったく驚かないだろう。本作は続編前提の設計になっていて、キャラクターたちのその後を継続しやすいコンセプトだ。ネットフリックスは、目立たない低予算のヒット作を好む傾向があり、エド・ゲインのような大型作や定番のリアリティ番組に次ぐ順位まで上がっているのは大きな成果だ。
