サイエンス

2025.10.16 18:00

古代ローマ帝国の発展を支えたスーパーフード、「ガルム」とは何か

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ガルムが忘れ去られた理由とその重要性

これだけのメリットがありながら、現代人はなぜガルムを食さないのだろうか。

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皮肉にも、工業化が進んだことで、数千年もの間人類を支えてきた食料は私たちから遠ざかってしまった。ガルムは、西ローマ帝国が崩壊すると人々から好まれなくなり、中世ヨーロッパでは、刺激がもっと少ない調味料が出回るようになった。そして、食料の冷蔵保存法や、人工的な保存料、加工食品が普及すると、かつては生物学的に不可欠だった発酵というプロセスは、ニッチな職人技になってしまった。

しかし、生物学は今も昔も変わっていない。

私たちの腸内のマイクロバイオームは、今でも発酵食品を餌にして活動している。人間の神経細胞は、長鎖オメガ3脂肪酸をまだ必要としている。免疫システムは、いまだほとんど解明されていない方法で、微量ミネラルやアミノ酸に反応している。この意味で、ガルムは私たちに1つの道筋を示している。

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実際、現代の栄養学者は、タイのナンプラーやベトナムのヌクマムといった発酵魚醤がもつ潜在的な健康効果を再評価している。欧州や米国の一部の高級レストランでは、貝類からキノコなどあらゆる食材を使って、ガルム的な調理法を復活する動きさえみられる。一見すると単なる流行にすぎないだろうが、実際には本来のかたち、私たちの進化生物学が強く支持するものに回帰しているのだ。

進化から見えてくる人間の食生活

進化の観点から見ると、全粒粉や豆類、オリーブ油、ガルムをベースにした古代ローマの食生活は、人間の体が本来働くべき仕組みと驚くほど一致するものだ。加工糖が少なく、食物繊維が豊富で、栄養素がぎっしり詰まった発酵食品がたっぷり含まれていた。

ガルムは、ローマ文化を象徴する存在でもあったが、深い生物学的原理に基づいていたという点でも際立っている。合成添加物や冷蔵保存、人工的な栄養強化が一切存在しない時代に、人間の腸の健康や栄養の吸収、免疫機能を支えていたのだ。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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