食&酒

2025.10.23 14:15

北米版「ベストレストラン50」、初回の1位はどの店に?

アトミックスでは見事な食材のプレゼンテーションと共にトロフィーが飾られていた
アトミックスでは見事な食材のプレゼンテーションと共にトロフィーが飾られていた

アワード後、実際に「アトミックス」を訪問してみると、14席のメインダイニングカウンターと6席のバーカウンターはいずれも2回転とも満席だった。10年ほど前までニューヨークで韓国料理といえばカジュアルな印象が強かったが、そんなイメージを覆し、エレガントなインテリアのなか、韓国人アーティストとコラボレーションして作られた食器類と、丁寧かつあたたかなサービスと共に、韓国の味の組み合わせや文化を表現している。K-POPをはじめとする韓国カルチャー人気ともあいまった、現代のファインダイニングらしい店だ。

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今回の北アメリカ版は、50ベストらしい多様な未来を予感させるリストとなった。シカゴからはモダンフィリピン料理「カサマ」、ニューオーリンズからはモダンセネガル料理「ダカール・ノラ」、さらにジャマイカからはプラントベースのモダンジャマイカ料理「スタッシュ・イン・ザ・ブッシュ」もランクインしている。

また、「ファインダイニングにこだわらず、人気のある店はランクインする」というポリシーの通り、予約を取らない、気取らない雰囲気の魚料理のレストラン「チャビー・フィッシュ」(チャールストン)、元々ワインバーとしてスタートした「モンラパン」(モントリオール)などカジュアルな店もリスト入りしている。

「カサマ」はファインダイニングの店だが、週末の朝にはフィリピン風の朝食(左下)を提供し、地元の人たちで大行列、そのユニークな営業スタイルでも知られる。
「カサマ」はファインダイニングの店だが、週末の朝にはフィリピン風の朝食(左下)を提供し、地元の人たちで大行列、そのユニークな営業スタイルでも知られる。

北アメリカからはこれまで、ナパバレーの「フレンチランドリー」とニューヨークの「イレブンマディソンパーク」というファインダイニングが世界No.1に選ばれているが、北アメリカ独自のリストが生まれたことで、美食の旅先として、今後多様なアメリカの都市にスポットライトが当たるようになっていくと言えるだろう。

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また、店が提供する料理の国籍の多様化、カジュアルレストランにも焦点が当たり、質の良い料理をくつろいだ雰囲気で楽しむ「ファインカジュアル」への潮流も感じる結果となった。ドリュー氏は「北アメリカは世界的に見ても特に移民の多い地域で、今年の北アメリカのリストは、これまでの世界版、または世界各地の数あるリストのなかでも、最もダイバーシティのあるリストとなった」と語った。

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文・写真=仲山 今日子

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