食&酒

2025.10.23 14:15

北米版「ベストレストラン50」、初回の1位はどの店に?

9月25日、「世界のベストレストラン50」が北アメリカを対象とした地域版、「北アメリカベストレストラン50」を初めて発表した。授賞式の会場となったのは、昨年6月の世界版の会場と同じラスベガスの統合型リゾート「ウィン・ラスベガス」だ。800人が参加した授賞式にはバンドによる生演奏が入り、エンターテイメントの街を印象付けた。

「北アメリカベストレストラン50」の対象になるのは、アメリカとカナダ、カリブ海のレストラン。地理的には本来、メキシコ、キューバ、ドミニカ共和国も含まれるが、いずれも既にラテンアメリカ版の対象となってきた関係上、対象外となる。

50ベストのコンテンツ・ディレクター、ウィリアム・ドリュー氏によると、世界版同様に、北アメリカ版もシェフやジャーナリスト、レストラン関係者による投票で選ばれる。その投票者は約300人で、地域ごとのチェアパーソン(評議委員長)が投票者を選ぶ。広いエリアをより細かくカバーするために、これまでの世界版の3人に加え、新たに北アメリカ版のみを対象とする5人のチェアパーソンが選ばれ、カナダ3人、米国4人、カリブ海1人の8人体制となった。

No.1レストランに選ばれたのは、ニューヨークのモダン韓国料理「アトミックス」。今年6月に発表された世界版でも12位に輝いており、順当な結果となった。

ソウル出身のパク・ジョンウンシェフとエリア夫妻は大学の同級生で、パクシェフがフランス料理の手法で韓国の味を表現する「ジュンシック」のヘッドシェフに就任した2012年にニューヨークへ。16年に独立し、オーナーシェフとしてカジュアル店「アトボーイ」を開店した後、18年にファインダイニングの「アトミックス」をスタートした。

22年にはニューヨークに韓国の伝統料理店を再解釈した「ナロ」を、さらに24年には、より韓国文化に根付いた食を生み出すためにソウルの一等地にラボ「コモンエラ」をオープンするなど、飛ぶ鳥を落とす勢いだ。来年には、韓国文化がまだあまり根付いていないロンドンに出店し、「食文化のアンバサダー」として魅力を伝えていく予定だ。

授賞式では「今回の受賞は私たちにとって、アメリカンドリームが実現したようなもの。他の文化背景を持つ人たちも、それぞれにアメリカンドリームを持っているはず」と他のレストランへも思いを馳せた。

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文・写真=仲山 今日子

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