手を清潔に保つことは、ウイルスや細菌など、病気にかかる要因を減らすのに役立つ。この分野の研究者が「手指衛生」と呼ぶものは、手を洗うことが最も効果的であり、特にその頻度と徹底性が重要だとされている。
だが、移動中だったり、車内にいたり、石鹸や洗面台が近くにない状況では、手指消毒剤を使うことが最善の選択肢となる。しかし、手指消毒剤には果たしてどれほどの効果があるのだろうか? 例えば、手指消毒剤を塗布した後に手をしっかりとこするかどうかは重要なのだろうか?
米学術誌「応用環境微生物学」に掲載された米アーカンソー大学のクリステン・E・ギブソン教授とフランシス・トルコ博士候補による論文では、手指消毒剤の使用による手指衛生、特に手をこするべき時間に関する新たな証拠が示された。結論から先に言うと、手指消毒剤は乾くまでよくこすることが重要だ。
研究者らは、さまざまな手指消毒剤で手指をこする時間を異なる種類のウイルスで比較した。いわゆる「試験管内」の有効性(基本的に、微生物を消毒剤に入れて何が起こるかを観察する)を示した先行研究を基に、新たな研究では、ボランティアが実際に手を使って実験を行った。
それによると、消毒剤の種類に関係なく、手指消毒剤は呼吸器疾患(鼻、喉、肺に影響を与えるもの)を引き起こすウイルスの拡散を抑制するのには極めて効果的だが、胃腸疾患(消化器系に影響を与えるもの)を引き起こすウイルスの拡散に対してはあまり効果がないことが明らかになった。
ギブソン教授は「手指消毒剤だけに頼るより、実際に手を洗った方が効果的だ」とした上で、「手指消毒剤しか選択肢がない場合、乾くまでこすり続けることでウイルス(そして恐らく細菌も)を効果的に除去することができる」と説明した。
手指消毒剤を使う時は、可能であれば完全に乾くまで手をこするようにしよう。さらに効果的なのは、石鹸と水で頻繁に、そして十分に手を洗うことだ。



