ASTスペースモバイルの株価は、米国時間10月8日に米通信大手ベライゾンとの提携を発表したことで9%上昇した。これにより、同社の創業者兼CEO、アベル・アベランの純資産はわずか30日間で倍増した。
ベライゾンとの契約で株価急騰、CEOの資産が1日で約760億円増加
8日、ASTスペースモバイルはベライゾンの顧客向けに、地上の通信エリアの空白を補うための「宇宙からの携帯通信サービス」を2026年に開始する契約を発表した。この契約は、2024年5月に締結された1億ドル(約152億円。1ドル=152円換算)規模の提携を拡大するものであり、発表当日にはAST株が9%急騰した。その結果、テキサス州に拠点を置く同社の創業者であるアベランの資産は、わずか1日で約5億ドル(約760億円)増加した。
9月初旬以降に株価101%上昇、CEOの純資産は約9424億円に倍増
この急上昇は、アベランにとって極めて実りある30日間の「仕上げ」となった。ベネズエラ出身のアベランは、2016年に最初に立ち上げたエマージング・マーケッツ・コミュニケーションズを5億5000万ドル(約836億円)で売却した資金を元手にASTを設立した。アベランはASTの株式7800万株(全体の約24%)を保有しており、フォーブスの推計によれば、9月初旬以降、同社株が101%上昇したことで、純資産は29億ドル(約4408億円)から62億ドル(約9424億円)へと倍増した。過去6カ月間でみると、資産は16億ドル(約2432億円)から3倍以上に増えている。
世界の通信大手と提携網を構築、近く楽天も契約に署名か
ASTスペースモバイルは、ベライゾン、AT&T、そしてインド最大の通信事業者であるViなど、世界の主要携帯キャリアとの間で30件を超える衛星通信パートナーシップを締結しており、たびたび話題を集めてきた。また同社は米宇宙軍との契約も獲得している。B・ライリー・セキュリティーズのアナリストを務めるマイク・クロフォードは、近く楽天も契約に署名すると予想しており、楽天が2024年の投資家向けプレゼンテーションの中で「ASTスペースモバイルの進捗」というスライドを掲載した点を指摘した。
ASTはインフラ整備のために巨額の資金を費やしているものの、転換社債の発行などによって資金を調達し、運営を維持してきた。7月には転換社債の発行で5億7500万ドル(約874億円)を調達した。アベランは資金調達完了の際の声明で、「資金調達が成功したことにより、当社の手元資金は15億ドル(約2280億円)を超える水準まで強化された。これで世界初かつ唯一の、宇宙ベースのスマートフォン向けブロードバンドネットワークを迅速に展開できる体制が整った」と述べている。
投資家たちはこれを、同社が掲げる「一般的なスマートフォンから直接アクセスでき、商用および政府用途の双方に対応した、世界初かつ唯一の、宇宙ベースのスマートフォン向けブロードバンドネットワーク」構築に向けた必要な一歩とみているようだ。7月の資金調達完了以降、ASTの株価は53%上昇している。



