考えられるウクライナの対応策
ウクライナの多層型防空網は引き続き柔軟であり、ロシアの戦術や技術の変化に迅速に対応できる。技術者たちは既存のシステムを改良して、予測困難な飛行経路をより正確に追跡できるようにするだろうし、機動防空部隊はより高速な目標捕捉システムや改良型のレーダー連携システムを装備し始めている。ウクライナはまた、迎撃ドローンの配備も増やしている。
こうした対応によってロシアによる攻撃の効果は低下すると見込まれる。とはいえ、一部のミサイルやドローン、とりわけ改良型の弾道ミサイルは引き続き防空網を突破する可能性が高い。
ロシアの主な弱点は生産能力にある。ロシアの高性能な巡航ミサイルや弾道ミサイルの製造能力は依然として限られるので、ロシア軍は断続的に行う大規模な攻撃に先立ってミサイルを備蓄せざるを得ない。大規模な攻撃のたびにリソースを消耗し、そのリソースはとくに現在の制裁下では容易には補充できない。
ウクライナはいまでは、こうしたミサイルに関連する工場や飛行場、兵站拠点をたたくことのできる縦深打撃能力を有している。これらのインフラを攻撃することで、ロシアの高強度攻撃の継続能力を制限し、ウクライナの防空能力に対す圧迫を軽減できる可能性がある。
現時点では、ロシアが重要な優位性を確保している。ミサイルとドローンを組み合わせたその戦術は、ウクライナの防空網を引き伸ばして重要なインフラを攻撃するという狙いどおりの効果をあげているように見える。冬が近づくなか、これらの攻撃はウクライナのエネルギー供給網を弱体化させ、国民の忍耐力に圧力をかけるおそれがある。
ウクライナの防衛体制が迅速に適応し、ロシアの新たな攻勢力を鈍らせることができるか、その成否は今後数カ月の取り組みにかかっている。


