ロシアは8月下旬以降、約40発のミサイルを使用する大規模な攻撃をだいたい2週間に1回のペースで実施している。この傾向は、回数を減らしつつ規模を拡大したドローン・ミサイル調整攻撃によってウクライナの防空網を圧倒するという戦術への移行を示している。
こうした大規模な攻撃の間に、ロシアはドローンを中心としたより小規模な攻撃を連夜続けている。ミサイルを数週間温存し、その後数百機のドローンとともに発射するというやり方で、ロシアはウクライナの防空能力を飽和させ、攻撃の成功率を高め、ウクライナに貴重な迎撃ミサイルを消費させている。
ロシアによるミサイルの改良
ロシアは新たな戦術を採用しているだけでなく、迎撃の難易度を上げるために弾道ミサイルと巡航ミサイル自体に改良も加えている。短距離弾道ミサイルのイスカンデル-Mは現在、レーダーデコイ(レーダを欺くおとり)を搭載しており、ウクライナのレーダーによる追尾を難しくしている。イスカンデル-Mはまた、飛行の最終段階での軌道変更も可能になっているとされ、これも防空システムの有効性を低下させている。
巡航ミサイルのイスカンデル-Kも、信管の信頼性の改善、ジャミング(電波妨害)耐性のある航法システムの採用、衝突時に確実に爆発する改良型弾頭の搭載といった改良が施されている。空中発射巡航ミサイルのKh-59に関しては改良が行われたという報告はないものの、より新しいKh-69はステルス性と機動性を高めた設計になっている。
ロシアはこのほか、キンジャール空中発射弾道ミサイルなどの超音速兵器も改良している。イスカンデルをベースに開発されたキンジャールはこの戦争の初期から使用されてきたが、命中精度の低さが課題になっていた。だが、新型は精度や機動性が向上し、迎撃が格段に難しくなっているとみられる。同じ技術的進歩はイスカンデル-Mとイスカンデル-Kの改良にも活用されている可能性が高い。
別の超音速兵器であるツィルコン巡航ミサイルは、ロシアの長距離攻撃能力に新たな次元を加えるものである。もともと艦載型として開発されたツィルコンは、ウクライナに対して2024年に初めて実戦使用された。ただ、使用例はこれまで限られている(編集注:ウクライナの軍事ニュースサイト「ディフェンス・エクスプレス」によると、8月21〜22日の夜のスーミ州に対する攻撃でツィルコン1発が使用されたことが残骸から確認された。ウクライナでのツィルコンの使用例は14発目とされる)。


