ドローン(無人機)とミサイルによる戦略攻撃はロシアとウクライナ双方の戦争計画で重要なものになっているが、攻撃方法には違いがある。過去3カ月、ウクライナはドローンによる精密攻撃によって、ロシア国内深くにある軍事目標や製油所などを次々に破壊してきた。一方、ロシアは力任せの方式に頼り、大量のドローンとミサイルを発射してウクライナの防空網を圧倒しようとしている。
ウクライナはこれらの攻撃におおむね対処できており、ロシアの成果は限定的だった。けれども10月2日から3日の夜に行われた大規模な攻撃は、ウクライナの防空網を突破するドローンとミサイルを増やすため、ロシアが戦術と技術を改良したことを示している。
ロシアの新たなドローン・ミサイル戦術
ロシア軍はこの夜、過去数カ月で最大級の調整攻撃をウクライナに対して実施した。ウクライナ空軍の発表によると、ロシアのクルスク、ブリャンスク、オリョール、ロストフ、スモレンスク各州やクラスノダール地方といった方面から、ドローン381機、イスカンデル-M/KN-23弾道ミサイル7発、イスカンデル-K巡航ミサイル21発、Kh-59/69空中発射巡航ミサイル7発が飛来した。
ウクライナ空軍はこのうち、ドローンを303機、イスカンデル-Kを12発、Kh-59/69を5発、撃墜・制圧したと報告している。しかし、残りのドローン78機とイスカンデル-M全7発を含むミサイル18発はウクライナ各地の15目標に命中した。ハルキウ、ポルタバ両州の施設が狙われたほか、スーミ、ドニプロペトロウシク、オデーサ、キーウ各州も影響を受けた。この攻撃は、冬を前にウクライナのエネルギー供給網を麻痺させる広範な計画の一環で、重要なエネルギーインフラを狙ったとみられる。
ロシアはかねてドローンとミサイルを組み合わせた一斉攻撃を行ってきたが、最近の攻撃は、ほとんどがドローンでミサイルは数発という構成のものが大半を占める。米シンクタンクの戦争研究所(ISW)の分析によれば、ロシア軍は9月、少数の大規模な攻撃を特定の日に行えるように、弾道ミサイルと巡航ミサイルを備蓄していたとみられる。同月、ロシアはドローンを合計で6900機ほど発射する一方、10発超のミサイルを使用した夜間攻撃は4回にとどまった。



