キャリア

2025.10.15 09:00

昇進も昇給もなく責任だけ増える、「見せかけのキャリアアップ」にはまらないための5ステップ

Shutterstock.com

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履歴書作成サービス「MyPerfectResume(マイパーフェクトレジュメ)」が、米国のプロフェッショナル1000人を対象に行なった最近の調査で、半数以上(53%)が、自分のキャリアは一見すると前進しているが、自分としてはそう感じない、と回答している。そのほか、次のような結果が得られた。

・78%の人が、新たな業務を、昇給や昇進なしに割り当てられたことがある。
・53%の人が、昇進やチャンスを約束されたのに、実現しなかった経験がある。
・35の人が、業務量の増加に対して、一度も適正な報酬を支給されたことがない。

「見せかけのキャリアアップ」とは何か

「見せかけのキャリアアップ(ghost growth)」とは、それに見合った昇給や昇進、権限の拡大がないまま、キャリアが前進しているかのように錯覚させられることだ。従業員が、それまでより多くの責任を負うようになっても報酬や評価が追いつかないと、不満や燃え尽き、意欲の喪失につながる。

実際、調査に回答した人の4分の1以上(27%)が、見せかけのキャリアアップを理由に退職した経験がある。キャリアアップへ向かっていると思っていたら、実際にはキャリアが停滞していた、という罠だ。

優秀な従業員でさえ、「見せかけのキャリアアップ」の罠にはまる

企業が従業員に対して、昇進や、成果に基づく昇給を決定する前に、これまで以上の能力を発揮するよう求めるのは、よくある話だ。例えば既存の業務に加えて、大きなプロジェクトを任される場合がある。プロジェクトチーム全体の責任を担わせることで、幹部は従業員の管理能力を直接評価できる。売り上げやコスト削減の目標を課されることもあり、その場合は財務上の責任まで加わる。

自分の能力に自信があり、野心的にキャリアアップを追い求める優秀なプロフェッショナルは、実際の昇進や昇級、その他の評価につながることを期待して、そのプロジェクトを引き受ける。

自分が「見せかけのキャリアアップ」に陥っていないか見極める

企業がより高い報酬を与える前に、より高いレベルのパフォーマンスを従業員に求めること自体は問題ではない。問題はその後も報酬は増えないのに、より高いレベルのパフォーマンスを引き続き期待される場合だ。そのままさらなるプロジェクトを引き受け、さらなる人員を管理し、より多くの、またはより高い目標達成の責務を担わされる。

「少ない報酬で、より多くを期待する」企業を許容し続ければ、あなた自身も問題の一部となってしまう。報いられないのに、仕事にしがみつく状態に陥っているわけだ。

「見せかけのキャリアアップ」から脱却し、キャリアを真に前進させるための5つのステップ

より多くの仕事を請け負えば、自動的に見返りが増える、と思い込んではいけない。見せかけのキャリアアップから、真のキャリアアップへ進むための5つのステップを実践しよう。

1. 具体的な「キャリアアップ」の目標を定める

目指すのは昇給か、昇進か、権限の拡大か、あるいは他の何かか。すべてを望んでいるかもしれないが、必ずしもそれらがすべて、あるいは同時に実現するとは限らない。したがって、努力に優先順位をつける必要がある。

2. 自社の意思決定プロセスを確認する

昇給や昇進など、目指すものを明確に定めたら、自社でその目標を達成している人たちを特定し、彼らがどうやって成し遂げたかを学ぼう。可能なら直接尋ねてもいい。少なくとも、彼らのキャリアの進展を遠目から観察することはできる。上司や他のシニア・メンターに、自社の意思決定プロセスがどのように進むのか尋ねてもいい。目標を達成する上で本当に重要な成果は何か、誰がそれらの決定を下すのか、といったことだ。

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翻訳=高橋朋子/ガリレオ

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