6. 金融サービスにおけるエージェント
専門家は、金融サービスがエージェントの影響を最初に受ける業界のひとつだと予測している。銀行や保険会社は、複雑な多段のコンプライアンスプロセスの処理にエージェントを活用するほか、不正対策のために口座や取引をリアルタイムで監視するだろう。住宅ローンや各種ローン申請に必要な書類作成や資料収集を支援し、投資ポートフォリオのリスク最小化とリターン最大化のために、市場シグナル、経済状況、世界のニュースにリアルタイムで反応してバランス調整を行う。競争の激しいこの業界では、新技術がもたらす機会への適応が生存の条件であり、2026年の取締役会アジェンダではエージェント型AIが重要テーマとなるだろう。
7. AIコンパニオンとしてのエージェント
エージェントは生産性や効率だけのために使われるわけではない。調査によれば、2025年における生成AIの最も人気のある用途はセラピーとコンパニオンであり、エージェントは、常時稼働で行動まで取れる仮想の友人・相棒としてこの流れをさらに進める。過去のやり取りをよりよく記憶し学習できるようになり、長く付き合うほどこちらの理解が深まる。もちろん大きな危険信号もある。インターネットの黎明期と同様、一部の人は人間の本当の交流の代替としてそれを使ってしまうだろう。しかし、他方で、他人に打ち明ける準備ができていないメンタルヘルスの問題を話し合える場を提供したり、孤独や社会的孤立の解消に役立ったりするなど、前向きな用途もある。
8. 信頼の問題
AIエージェントは、私たちのために意思決定を行い、思考し、さらにはお金を使うことさえできる。だが、ちょっと待ってほしい――本当に賢明な考えなのだろうか。
日々の意思決定(と財務)を社会がどれだけ委ねる準備ができているかという問いは、2026年の重要テーマになる。鍵は信頼だ。研究によれば、自動化された金融判断を機械に任せることに、私たちは次第に前向きになっていることが示唆されている。しかし本格的な受容に向けては、AIサービス提供者が、アルゴリズムが常に透明性と説明責任をもって行動し、利用者の最善の利益を考えていることを示す必要がある。さらに、財布にとって正しい決定を下すだけでなく、倫理や環境への配慮といった価値観に沿うことも証明しなければならない。購買判断はこれらの要素にますます影響を受けているからだ。
エージェントが導く未来に備えよう
AIエージェントは、初期段階の期待から実世界での影響へと急速に移行している。これからの1年は、こうしたシステムがより多くの意思決定を担い、複雑なタスクを自動化し、私たちの働き方・購買行動・交流のあり方に影響を及ぼす中で、企業と個人がどれだけうまく適応できるかを試す期間になる。成功の鍵は、信頼を築き、倫理的な利用を確保し、人と知的エージェントが効果的に協働できるようプロセスを再設計することにある。今から準備する者が、エージェントに支えられた世界で最も良い位置を占めることになるだろう。


