キャリア・教育

2025.10.14 11:00

リバース・オートメーションの台頭──AIが人間中心の新しい仕事を生み出す

sorbetto / Getty Images

リーダーがリバース・オートメーションから学べること

リーダーは、自動化が人間の価値の再編であることを認識すべきだ。機械がプロセスの一部を引き継ぐと、人間がより高付加価値の仕事をする余地が生まれる。これを理解するリーダーは、仕事の設計を異なる観点から行うだろう。人間が最大のインパクトをもたらす領域を再考する必要がある。

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これはチームの編成を細かく見直すことを意味する。どの部分が共感、創造性、微妙な意思決定を必要とするのか。どの業務なら、品質や信頼を損なうことなく機械に任せられるのか。今後10年で最も成功する組織は、このバランスを適切にとれる組織である。リバース・オートメーションは、生産性指標を超えて、適応力に焦点を当てることを企業に促す。

従業員にとっては、最良のキャリア戦略は継続的な学習だ。エンジニアになる必要はないが、テクノロジーが自分の仕事にどう影響するかを理解する必要がある。この環境で活躍している労働者は、好奇心を持ち続ける人びとだ。システムの仕組みを学び、自らを価値ある人間的な接点として位置づける。リバース・オートメーションは、機械の能力と人間がなお担うべき仕事との橋渡しができる人を評価するため、好奇心に報いる。

リバース・オートメーションに追いつくべき教育と訓練

教育システムは、こうした現実への適応が遅れてきた。数十年にわたり、知識労働に焦点が当てられ、事務系の仕事の準備が重視される一方で、実地の専門性は過小評価されてきた。リバース・オートメーションはこのモデルを逆転させる。最も成長している役割はハイブリッドであり、技術的・手作業的・対人関係的要素を併せ持つ。従来のホワイトカラー/ブルーカラーの定義にはきれいに当てはまらない。未来の仕事が築かれているのは、この中間領域なのだ。

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だからこそ、ハーバードの動きは象徴的なのだ。名門大学が職業・技術訓練を語り始めることは、進歩が学歴だけでなく実践的な知性に依存していることを認める行為である。水準の引き下げと見る向きもあれば、リバース・オートメーションに形づくられた世界で成功の裾野を広げることだと見る向きもある。

リバース・オートメーションがもたらす破壊と機会

リバース・オートメーションは、組織が価値ある仕事をどう定義するかを変えつつある。これまでのあらゆる技術革新の波は、破壊と機会の両方を生んできた。今回も同じである。新しいのは、身体的技能、情緒的知性、デジタル理解のバランスが、ようやく同等に重視され始めた点である。

リバース・オートメーションを受け入れる企業は、より適応力の高いチームを築く。これに備える人材を育てる大学は、引き続き存在意義を保つ。そして、新たなスキルの組み合わせを学ぶことに前向きであり続ける個人は、テクノロジーが自らの可能性を制約するのではなく拡張し得ることを見いだすだろう。機械が限界に達する場所で価値を問い、学び続け、価値を築く者が、これからの働き方の未来で優位に立つのだ。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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