ラスカー財団は9月11日、2025年ラスカー賞の受賞者を発表した。今年は基礎研究、臨床研究、特別功績の3つのカテゴリーで計6名が表彰された。各賞のカテゴリーには合計25万ドルの賞金が授与される。
「アメリカのノーベル賞」とも呼ばれるラスカー賞は、医学および生物医学研究における重要な功績を称えるものだ。広告業界の先駆者アルバート・ラスカーと、医学研究の熱心な支持者であった妻メアリーによって1945年に創設されたこの賞は、基礎的な生物学的発見や人間の健康を改善する進歩を称えている。創設以来、ラスカー財団は400人以上の優れた科学者や臨床研究者に賞を授与しており、その多くが他の注目すべき国内外の賞も受賞している。
基礎医学研究賞
アルバート・ラスカー基礎医学研究賞（「生物医学の新しい領域を切り開く基礎的発見」に対して授与）の2人の受賞者は、ゲッティンゲンのマックス・プランク多分野科学研究所の生化学者ディルク・ゲルリッヒ氏と、ダラスのテキサス大学サウスウェスタン医療センターの基礎生物医学研究特別教授スティーブン・L・マックナイト氏である。
両者の研究プログラムは細胞内物流に焦点を当て、細胞内輸送と細胞組織化の新しい原理につながった。ゲルリッヒ氏は、タンパク質が細胞質から細胞膜の孔を通って細胞核に侵入するのを助けるトランスポータータンパク質の重要な役割を発見した。
マックナイト氏の研究室では、遺伝子制御の研究からロイシンジッパーの同定につながった。これは細胞遺伝子の発現のオンオフを制御する転写因子である。彼はまた、低配列複雑性タンパク質が自己集合して細胞組織を制御し、時には神経疾患や神経変性疾患に寄与する方法で結合することを研究した。
「この栄誉あるラスカー財団の賞に感謝したい」とマックナイト博士はニュースリリースで述べた。「また、長年にわたって共に働いた同僚や研修生、そして科学者が挑戦的で重要な問題を探求できる環境を作り出したUTサウスウェスタンのリーダーシップにも感謝している」
臨床医学研究賞
「何千人もの人々の生活を改善する大きな進歩」を称えるラスカー〜デベーキー臨床医学研究賞は、アイオワ大学の内科学（肺・集中治療・労働医学）教授マイケル・J・ウェルシュ氏、（以前バーテックス・ファーマシューティカルズに所属していた）ヘスース（ティト）・ゴンザレス氏、そして（バーテックス・ファーマシューティカルズの）ポール・A・ネグレスク氏の3名に授与された。
彼らは、嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス制御因子（CFTR）と呼ばれる遺伝子タンパク質の変異を修正する方法を発見したことで表彰された。この変異は嚢胞性線維症を引き起こし、肺に粘液が詰まり他の臓器にもダメージを与え、炎症や繰り返される感染症、最終的には死に至る遺伝性疾患である。彼らの研究は最終的にトリカフタの開発につながった。これは3剤併用薬で、この疾患を持つ患者の予後を劇的に改善することができる。
1970年代に医学生として嚢胞性線維症の研究を始めたウェルシュ氏は、「命を救う薬を可能にする発見の追求を通じて患者の生活向上に生涯を捧げてきた、完璧な医師科学者である」と、アイオワ大学カーバー医科大学の医学担当副学長兼タイロン・D・アーツ学部長のデニス・ジェイミソン氏は述べた。「マイク・ウェルシュの仕事は、好奇心、協力、目的に導かれた基礎科学が、いかに変革的なイノベーションと治療法につながるかを示している」とジェイミソン氏はマーシャルタウン・タイムズ・リパブリカンに語った。
医学特別功績賞
ルーシー・シャピロ氏はラスカー〜コシュランド医学特別功績賞を受賞した。スタンフォード医学部の発生生物学名誉教授でベックマンセンターのディレクターを務めるシャピロ氏は、「55年にわたる生物医学分野でのキャリア—細菌が時間と空間で遺伝的論理を調整して異なる娘細胞を生成する方法の発見、スタンフォードの著名な発生生物学部門の設立、そして国レベルでの模範的なリーダーシップ」が評価された。
ラスカー財団が2年ごとに授与するこの特別功績賞は、故生化学者ダニエル・コシュランド・ジュニアにちなんで名付けられた。この賞は「研究成果と科学的な政治手腕において、最も深い畏敬と尊敬の念を抱かせる」科学者を称えるものである。
この賞の18人目の受賞者であるシャピロ氏は、ラスカー財団から「明確で説得力のある話し手」として評価され、「生物兵器や新興感染症について複数の米国政権に助言し、国レベルでの模範的なリーダーシップを発揮してきた。抗生物質耐性の増加を懸念し、2つのバイオテック企業を立ち上げ、その斬新なアプローチによって人間用の薬剤や農業害虫を抑制する薬剤が生産された」と称えられた。
スタンフォード医学部のニュースリリースで引用されたシャピロ氏は、選出のニュースに驚いたと述べた。「過去の受賞者の多くは私のヒーローであり、科学的キャリア全体を通じて尊敬してきた人々です。その仲間の一員になることは、言葉では言い表せないほど意味があります。本当に想像できる最高の栄誉です」と彼女は付け加えた。
今年の3つの賞に加えて、ラスカー財団はラスカー・ブルームバーグ公共サービス賞も授与している。これは「医学研究、公衆衛生、または医療に関する公衆の理解を向上させた功績、医学科学や健康における進歩を加速させる政策、立法、またはその他のイニシアチブにおいて主要な役割を果たした功績、医学科学または公衆衛生への支援を提供または生成した功績、公衆衛生実践を通じて多くの人々の生活に恩恵をもたらした功績」に対して授与される。2年ごとに授与されるこの賞は、次回は2026年に授与される予定だ。
2025年ラスカー財団賞の授賞式は、9月19日にニューヨーク市で開催される。
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