欧州

2025.10.14 08:00

戦死、国外脱出、少子高齢化 ロシアは将来的に人口半減の可能性も

ウクライナ侵攻で戦死したロシア軍兵士の墓地。2023年9月21日撮影(Artem Priakhin/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

ウクライナ侵攻で戦死したロシア軍兵士の墓地。2023年9月21日撮影(Artem Priakhin/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

ロシア国防省から6日に流出した文書によると、2025年に入ってからウクライナで死傷したロシア軍兵士の数が28万1550人を超えた。報告書はウクライナで活動するロシア軍各部隊の死傷者数の内訳を示している。この情報は、ロシア兵がウクライナ軍に安全に投降するのを支援するウクライナの非政府組織(NGO)によって公開された。

ロシア独立系ニュースサイトのメディアゾーンと英BBCによる算出では、ロシア軍は2025年年初以降、推定で約21万9000人の死傷者を出している。これらの報告書はいずれも、ロシアによるウクライナ侵攻が壊滅的な被害をもたらしていることを示唆している。

ロシアが2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始してから3年半以上が経過し、ウクライナでは数万人が死亡し、人口の4分の1が避難を余儀なくされている。同国では複数の町や村が破壊され、世界銀行は同国の再建に5240億ドル(約80兆円)以上の費用がかかると見積もっている。

一方、ロシアは軍事装備や兵器で数百億ドル相当を失った。同国の戦車の約3分の2が破壊され、ウクライナ軍はロシア黒海艦隊のほぼ半数を撃沈または損傷させた。また、ロシアは西側の制裁により数千億ドルの損失を被ったと推定されている。

これらの物的・財政的損失に加え、ウクライナ侵攻はロシア軍に重大な影響を与えている。英紙ガーディアンは、ウクライナ侵攻開始以降、ロシア軍が100万人以上の死傷者を出していると報じた(英国防省、米国防総省、米シンクタンクの戦略国際問題研究所もそれぞれ独自にこの死傷者数を検証している)。その上で同紙は、ウクライナ侵攻によるロシア軍の死者数は、第二次世界大戦終結以降のソ連とロシアの全戦争による死者数の合計の約5倍に上ると伝えた。

こうした犠牲はロシア軍にどのような影響を与えているのだろうか? さらに、ウクライナ侵攻はロシアの人口動態にどのような影響を与えているのだろうか? 特に大きな影響を受けているのは、ロシア国内の農村部や低所得地域に住む男性のようだ。

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翻訳・編集=安藤清香

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