欧州

2025.10.11 09:00

財政の限界にぶつかったロシア、軍人への給与支払いに苦労し始める可能性

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ロシアの独立系メディア、モスクワ・タイムズなどによると、ロシア政府は2026年に付加価値税(VAT)を20%から22%に引き上げることを計画するほか、新たに5%の賭博税を課すことも提案している。コリャンドルは、ロシア政府はVATの納付義務が生じる法人所得の基準額を現行の6000万ルーブル(約1億1000万円)から1000万ルーブル(約1900万円)に大幅に引き下げる方針であるため、小規模な企業も現行の6%でなく22%のVATを支払わなくてはならなくなると説明した。

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ロシアのガソリン卸売価格は1月以降すでに50%超上昇しており、一般のロシア国民にその負担が回ってきている。また、ウクライナのアナリストであるイェウヘン・イストレビンは、ロシアでは住宅ローンの延滞が1カ月で7%、過去1年では120%も増加していると指摘している

キーウ・インディペンデントは、インフレは依然としてロシア国民の最大の懸念事項のひとつだと報じ、ロシアの検査当局の発表として、2025年上半期に食品など消費者向け商品の値上げに対する捜査が400件超行われ、企業5000社あまりに警告が出されたとも伝えている。食品やサービスの値上がりによってインフレ率がロシア中銀の目標を上回る水準に高止まりするなか、ロシア当局は野菜や乳製品、鶏肉といった生活必需品の価格に上限を設ける準備も進めているとされる。歴史を振り返ると、戦時中に国民を財政的に締めつける政策がクレムリンにとって良い結果になった例は少ない。

ただし、政治学者のタラス・クジオはこう注意を促している。「ロシア人が1917年のように、突然『もうたくさんだ』と言って戦いをやめると信じるのは、希望的観測にすぎません。彼らはお金のために、また30年にわたって反ウクライナ、反西側のプロパガンダを刷り込まれてきたから戦っているわけです」

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一方で、ロシア国家への圧迫は近いうちにさらに強まる可能性がある。米国がウクライナによるロシアへの縦深攻撃を支援する情報共有を承認したことで、ウクライナのドローンやミサイルは一段と危険なものになろうとしている。さらに、もし米国が最大射程2500kmのトマホーク巡航ミサイルをウクライナに供与すれば、ロシア指導部はゼレンスキーが警告したように「どこに防空壕があるのかを知っておく必要がある」だろう。

ウクライナがロシアの石油収入を削るなか、ロシア政府は、兵士を「肉挽き機」に投げ込むような損耗の激しい攻勢を維持するうえで当てにしている、その兵士たちへの給与の支払いに苦労し始めるかもしれない。ロシアは少なくとも、全面侵攻初期のような激しさで戦うことは不可能になるだろう。時間が経過し、ウクライナがテクノロジーによる「盾」を強固にしていくにつれて、ロシアが戦争目的を達成することはますます難しくなっていくと見込まれる。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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