防空システムが不足しているロシアが極東でデコイの防空システムを配置していることも、5月にオープンソースの衛星画像で明らかになった。安価なドローンを高価な防空ミサイルで迎撃するのは、欧州もロシアのドローンによる領空侵犯の際に気づいたように、コスト面で持続不可能だ。とくに、飛来するドローンの多くがおとりの場合はなおさらである。
ウクライナに特化したベンチャーキャピタル(VC)企業グリーン・フラッグ・ベンチャーズのファウンディングパートナー、デボラ・フェアラムはこう語る。「生存のために適応を強いられたウクライナはいまでは、戦闘で実証された防衛テックの分野で世界をリードしています。戦場のイノベーションに関して、これほど包括的なエコシステム(生態系)を開発した国はほかにありません」
こうしたイノベーションと非対称のコスト戦術によって、ウクライナによるロシアの石油産業に対するドローン作戦はますます効果を高めているのだ。
過去2年でウクライナの攻撃能力は次第に高度化して大きな損害を与えるようになり、ロシアの製油能力の相当な割合を破壊している。英BBCのまとめによると、今年1月から10月初めまでにロシアの主要な製油所38カ所のうち21カ所前後が攻撃を受けており、ウクライナの攻撃成功数はすでに2024年通年よりも48%多くなっている。
ロシアメディアのRBCは、9月末時点でロシアの製油能力の40%近くが稼働停止状態にあり、うち最大70%がドローン攻撃を受けた結果だと報じている。またロシアの経済紙コメルサントによれば、ロシアのガソリン生産は9月だけで100万t減少し、国内市場で約20%の不足が生じたと推定されている。影響はガソリン不足にとどまらない。政治学者のアレグザンダー・モティルは筆者の取材に「石油が減れば収入も減るのです」と話した。
モティルは、ロシアは収入が減少するにつれて、軍人への支出を続けていくのが次第に難しくなっていくと予想する。「ロシアの軍人に契約金を払うのはこれまでより難しくなるでしょう」と彼は述べ、ロシアがアフリカやキューバのより安上がりな外国人傭兵を頼りにし始めているのもそのせいかもしれないと推測した。こうした財政逼迫の影響はもはやクレムリンの戦争予算に限定されず、一般のロシア国民の日常生活にも急速に波及してきている。


