製油能力の40%近くが稼働停止、ガソリン2割不足か
ロシアでは8月、商品取引所の燃料価格が過去最高を記録した。9月にはガソリンがおよそ40万t不足し、多くのガソリンスタンドが休業を余儀なくされた。とくに、値上げできない中小の独立系業者が打撃を受けた。占領下のクリミアでは、半分ほどのスタンドがガソリンの販売停止に追い込まれたと報じられている。ウクライナメディアのキーウ・インディペンデントによると、ウクライナの攻撃の影響でロシアのディーゼル燃料(軽油)とガソリンの輸出はおよそ30%減少しており、月に7億2000万ドル(約1100億円)程度の燃料収入が失われているもようだ。
ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は9月12日の国民向け演説のなかでこう述べている。「最も効果的な制裁、最も即効性のある制裁は、ロシアの製油所や石油ターミナル、石油貯蔵施設に起こす火災です。われわれはロシアの石油産業を大幅に制約しており、これにより戦争そのものを大幅に制約しているのです」。ウクライナのドローン攻勢は地上の製油所をたたいているだけでない。それは空での戦いも変容させている。
ウクライナは地上戦に加え、空戦でも持久戦を繰り広げている。そこで重要な手段になっているのがデコイ(おとり)ドローンだ。デコイドローンは防空網に通路を切り開いて長距離攻撃が貫通できるようにしている。新アメリカ安全保障センター(CNAS)の非常勤シニアフェロー、サミュエル・ベンデットは「戦争が続くにつれて、デコイドローンの役割はますます大きくなっていくでしょう」と筆者の取材にコメントした。
ウクライナはさらに、Su-27戦闘機を米国製のMALDデコイミサイルの発射母機にしており、ロシア側に何百万ドルもする迎撃ミサイルを偽の目標のために浪費させつつ、真の攻撃のための機会をつくり出している。ニューズレター「Ukraine’s Arms Monitor」の著者である防衛アナリスト、オレナ・クリジャニウシカは「ロシアもウクライナも長距離攻撃作戦でデコイを用いていて、防空システムを欺く有効性の高さを実証しています」と解説する。「ウクライナが投入しているドローンのうち、およそ30%はデコイだとする報告もあります」


