サイエンス

2025.10.13 18:00

「世界で最も危険な海の生物」は、24個の目を持つ透明なクラゲ

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狩りの名人

ハコクラゲが本当に驚くべき、そして恐ろしい存在である理由は、彼らがほとんどのクラゲとは異なり、海流に身を任せるだけではないことだ。むしろハコクラゲは、積極的に獲物を捕食する。

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クラゲの大半は、海を弱々しく脈動しながら進むことしかできない。わずかな水を押し出しながら、自分の体を移動させるのだ。パイロットというより乗客に近く、潮の流れが生活を大きく左右している。

一方、ハコクラゲは極めて優れた泳ぎ手だ。『Journal of Zoology』に発表された研究が説明しているように、ハコクラゲは高度に発達したジェット推進を利用している。箱のような傘には、筋繊維束が張り巡らされており、それぞれを力強く収縮させて海水を傘に吸い込む。吸い込まれた海水は、強力なジェットとして噴出され、その反動で体を前方に推進する。

この「吸って吐く」というテクニックは、『Fisheries and Aquatic Sciences』に発表された2024年の研究が指摘するように、ハコクラゲの最も小さな種にも見られる。この動きこそが、多くの小型魚を上回る最大4ノット(時速約7.4km)という驚異的な速度の秘密だ。

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さらに驚くべきことに、ハコクラゲは方向転換も可能だ。円を描くように漂うことしかできない近縁種とは一線を画している。Journal of Zoologyの研究が説明しているように、ハコクラゲは、ほかのクラゲとは異なる解剖学的特徴を持つ。触手の基部にある4つの「ペダリア」だ。この水かきのような筋肉構造が、急旋回や意図的な動きを可能にしていると考えられている。

もちろん、泳ぎや方向転換の能力が優れていても、進む方向が見えなければ無意味だ。ここでも、ハコクラゲはほかのクラゲの上を行っている。『Current Biology』に発表された研究論文によれば、驚くことに、ハコクラゲには24個の目があるのだ。

24個の目は、4つの独立した感覚器群に分かれており、傘の周囲に均等に配置されている。そしてこれらは、ほとんどのクラゲに見られるような単なる光感受性の点ではなく、ピット眼、スリット眼、上下のレンズ眼から成る。特に、レンズ眼は異常に複雑な構造を持ち、レンズ、角膜、網膜を備えている。脊椎動物や頭足類に見られるものと本質的に同じ構造だ。

長いあいだ、そして今日でさえ、なぜハコクラゲがこれほど複雑な目、しかもこれほど多くの目を必要とするのかは謎のままだ。しかし、わかっていることがある。ピット眼とスリット眼が、明暗の感知を助けるということだ。これにより、浅くて日当たりのいい水域で方向感覚を保つことができる。

しかし、上下のレンズ眼こそが、周囲の光学的像を形成する役割を担っている。これにより、物体の形状や水面、獲物の影を認識できるのだ。実際、Current Biologyの研究によれば、特にマングローブ林やその根のあいだでは、障害物にぶつかることなく、周囲を泳いで回避する様子が観察されている。

脳を持たないこれらのクラゲは、私たち人間と同じように物事を思考するわけではない。とはいえ、その神経系は高度に発達し、専門化しているため、視覚的な情報を取り込み、意図的な行動へと変換できる。

強力な泳力、透明な体、致死性の毒とともに、この視覚システムが、ハコクラゲを海で最もステルス性が高い正確なハンターの1つにしている。

forbes.com 原文

翻訳=米井香織/ガリレオ

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