アート

2025.10.18 14:15

サンパウロ・ビエンナーレが示す「美」の多様性と現代アートの意義

第36回サンパウロ・ビエンナーレで展示されているタンカ・フォンタの作品。Installation view of the 36th Bienal de São Paulo – Not All Travellers Walk Roads – Of Humanity as Practice (c) Levi Fanan/Fundação Bienal de São Paulo

第36回サンパウロ・ビエンナーレで展示されているタンカ・フォンタの作品。Installation view of the 36th Bienal de São Paulo – Not All Travellers Walk Roads – Of Humanity as Practice (c) Levi Fanan/Fundação Bienal de São Paulo

グローバル・サウスにおける現代アートの拠点として重要な役割をになうサンパウロで、第36回サンパウロ・ビエンナーレが開催されている。会期は2026年1月11日まで。

ヴェネツィア・ビエンナーレに並ぶ歴史と国際性を持つこの展覧会は、ブラジルの現代美術シーンだけでなく、相互につながり合う世界中のアーティストの表現や活動への扉としての意味を持つ。

本稿では、ビエンナーレの現地取材を通じて、あらためて現代アートの役割について考察する。

あらゆる存在が混じり合う「エスチュアリー」

展覧会のタイトルは『すべての旅人が道をたどるわけではないー人類の実践について(Not All Travellers Walk Roads – Of Humanity as Practice)』。アフリカ系ブラジル人作家、コンセイサォン・エヴァリスト(Conceição Evaristo)の詩に着想を得た。詩的な傾聴によってのみ到達できる「水面下の世界」を探求することの重要性を喚起している。

開幕時のイベントでは詩人のエヴァリストも参加。
開幕時のイベントでは詩人のエヴァリストも参加。

総合キュレーターのボナベンチュラ・ソー・べジェン・ンディクン(Prof. Dr. Bonaventure Soh Bejeng Ndikung)は「ブラジルという視点から世界を考え、聴き、見て、感じるというのがコンセプト」と説明。先住民、ヨーロッパからの入植者、奴隷化されたアフリカ人の文化が交わるブラジルの歴史的文脈は、いまの時代の複雑性を紐解くためのヒントとなる。

ンディクンはドイツで活躍するカメルーン出身のキュレーター。企画チームにはブラジル出身のケイナ・エレイソン(Keyna Eleison)やチアゴ・ドゥ・パウラ・ソウザ(Thiago de Paula Souza)、モロッコ出身のアリア・セブチ(Alya Sebti)を含む5名が加わった。125の参加アーティスト/コレクティブも、境界をまたいでボーダーレスに活躍する。

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コンセプトチーム。左からケイナ・エレイソン、アリア・セブチ、ボナベンチュラ・ソー・べジェン・ンディクン、アナ・ロベルタ・ゲッツ、ヘンリエッタ・ガルス、チアゴ・ドゥ・パウラ・ソウザ。(c) João Medeiros /Fundação Bienal de São Paulo
コンセプトチーム。左からケイナ・エレイソン、アリア・セブチ、ボナベンチュラ・ソー・べジェン・ンディクン、アナ・ロベルタ・ゲッツ、ヘンリエッタ・ガルス、チアゴ・ドゥ・パウラ・ソウザ。(c) João Medeiros /Fundação Bienal de São Paulo

準備期間にはマラケシュ、グアドループ、ザンジバル、東京の4カ所でイベントシリーズが開催され、音楽、詩、パフォーマンスを取り入れながら、地域コミュニティとの対話を促進。異なる地域の事例を手がかりに、人類の多義性についての考察を深めた。

Registro de apresentação de Noh contemporâneo por Shiori Watanabe durante a quarta Invocação da 36ª Bienal de São Paulo – Nem todo viandante anda estradas – Da humanidade como prática no Sogetsu Kaikan, em Tóquio, Japão. 13/04/2025 (c) Naoki Takehisa / Fundação Bienal de São Paulo. 「不気味の谷」をテーマに東京で開催されたプレイベントでは「能」も取り入れられた。(c) Naoki Takehisa / Fundação Bienal de São Paulo.
「不気味の谷」をテーマに東京で開催されたプレイベントでは「能」も取り入れられた。(c) Naoki Takehisa / Fundação Bienal de São Paulo.
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文=MAKI NAKATA

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