AI

2025.10.16 14:15

生成AIが揺さぶるSESモデル──必要とされる“人月商売”からの脱却と新ビジネスモデル再構築の未来

tope007 / Adobe Stock

tope007 / Adobe Stock

システムエンジニアリングサービス(SES)産業は、日本のITアウトソーシングを支える基盤であり、数十万人規模のエンジニアが「人月」という時間課金モデルを中心に稼働してきた。しかし、2023年以降の生成AIの急速な普及は、このビジネスモデルを根底から揺さぶり始めている。

advertisement

いま、SESは大きな岐路に立たされているように見える。その状況を分析し、将来像を考えてみたい。

GAFAMのレイオフに見る「優秀人材の余剰化」の可能性

SES産業の現状を把握するうえで、まず注目すべきは、米国大手テック企業による人員削減であろう。Alphabet、Apple、Microsoft、Meta(Facebook)、Amazonといった通称 GAFAMは依然として高収益を維持しているにもかかわらず、2025年にかけて数千人規模のエンジニアやプロジェクトマネージャーを削減したとの報道が相次いでいる。

直近の第2四半期、第3四半期においてはGAFAM各社の売り上げは二桁%の伸びを見せているにも関わらずである。削減の対象となった部門や職種は必ずしもエンジニアばかりではないし、事業的優先順位の見直しに伴う再編という発表となっている。しかしながら、その背景には AIインフラや生成AIサービスに経営資源を集中する戦略があるとみる。

advertisement

この動きは二つのシグナルを発している。

一つは、従来の“人海戦術”的な開発はAIの自動化に置き換わりつつあること。もう一つは、世界中の労働市場に優秀な人材が流出し、SES企業が高度人材を獲得できるチャンスが広がっていることだ。特に日本においてはAIの活用度が他国と比べても低いということが判明しており、そういった劣勢に見える状況を覆すチャンスでもある。

IT巨人のGAFAMに留まらず、高収益なIT巨大企業で数百人から数千人単位の大規模レイオフが発表されている。中には生成AI部門が急拡大したことによるものとするケースもあり、生成AIに起因するアクションと明言する企業は少ないものの、現在の生成AIの進化に伴う構造改革と思われる。

好調なエンタテインメント産業の1つであるゲーム業界においても直近3年で約35000件の職が削減されたという報告もある。

次ページ > ノーコード・ローコードの浸透が示す「市民開発」の台頭

文=茶谷公之

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事