米連邦準備制度理事会(FRB)の政策決定機関である連邦公開市場委員会(FOMC)は、9月の会合で多数派が利下げに賛成したものの、年内にさらにどれだけ利下げを行うかについては意見が分かれていた。米国時間10月8日に公表された議事要旨によると、「約半数」の当局者が12月までに追加で2回の利下げを支持していたという。
議事要旨によれば、FRB理事の「ほぼ全員」が9月の会合で0.25%(25ベーシスポイント)の利下げを支持し、「大多数」は年末までに2回の利下げを予想し、「約半数」は3回の利下げを見込んでいた。
政策決定会合に参加する理事は19人(うち12人が投票権を持つ)で構成されており、議事要旨によると、金融政策の現行スタンスがどの程度「引き締め的」であるかについて「幅広い見解」が示されたという。そのうえで、「大半」のメンバーは年内残りの期間にさらなる金融緩和を実施することが「妥当」であると判断していた。
各理事の見通しを示す「ドット・プロット」では、10対9に意見が分かれており、過半数が12月の最終会合までに追加で2回、0.25%ずつの利下げを予想していた。これにより、政策金利は3.5%から3.75%の範囲に下がる可能性があるとみられている。
また、2026年と2027年にもそれぞれ少なくとも1回の利下げを実施し、政策金利レンジは3%から3.25%になる見通しが示されている。
FOMCは10月28日から2日間にわたって会合を開き、29日に政策金利を発表する予定である。その後、年内最後の会合は12月9日に開催される。
議事要旨によれば、会合に参加した「多数派」のメンバーはインフレに対する「上振れリスク」を強調した。一方で、労働市場のリスクが高まっているとしつつも、失業率の急上昇や労働市場の「急激な悪化」は起きにくいとの見方を示した。当局者たちは今後もインフレと雇用の両面のリスクを考慮しながら、金融政策の調整方針を検討するとしている。
ジェローム・パウエルFRB議長は9月、中央銀行の懸念が「根強いインフレ」から「弱まる雇用市場」へと移ったと述べていた。
FRBは9月の会合で、11対1の賛成多数により0.25%の利下げを決定した。これは2024年12月以来初めての利下げである。ドナルド・トランプ大統領が会合直前に任命したスティーブン・ミラン理事は唯一の反対票を投じ、0.5%の利下げを主張した。トランプはこれまでパウエルとFRBに対し最大2%の利下げを強く求めており、パウエルを繰り返し「遅すぎる」と批判してきた。
理事たちは今年少なくとも2回の利下げに前向きな姿勢を示しているが、パウエルは失業率が上昇する一方でインフレ率が依然としてFRBの目標である2%を上回っているため、慎重な姿勢を維持している。フィリップ・ジェファーソン副議長とミシェル・ボウマン理事は、労働市場の弱体化を利下げの理由として挙げており、ボウマンは「何らかの衝撃が加われば、突然かつ深刻な悪化を招く可能性がある」と警告している。



