宇宙

2025.10.28 15:15

史上3例目の「太陽系外で誕生」した恒星間天体、10月29日太陽に最接近の見込み

Getty Images

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天文学者たちの間で今話題の恒星間彗星「3I/ATLAS(アトラス)」彗星は太陽系に向かって高速で突入しており、最新の画像では尾を伸ばしている様子が確認された。

この天体は直径約11キロメートルで、2017年の『オウムアムア』、2019年の『ボリソフ彗星』に続いて史上3番目に確認された恒星間訪問者である。

チリにあるジェミニ南望遠鏡による観測で、彗星の核の周囲には明るいコマ(彗星の頭部)が形成されており、その背後にはガスと塵の細い尾が伸びていることが確認された。これは、太陽の熱によって彗星の表面がすでに蒸発し始めていることを意味する。BBCの報道によれば、この現象は彗星が太陽に近づくにつれてさらに活発になると予想されている。

3I/ATLASはほとんどの彗星と異なり、太陽系の外で誕生したと考えられている。遠く離れた恒星系から何らかの力で放り出され、現在は時速約21万キロメートル(13万マイル)以上の速度で移動中である。この異常な速度は、太陽の重力に縛られていないことを示し、明らかに恒星間起源であることを裏付けている。Live Scienceによれば、この彗星は太陽に近づくにつれて尾がさらに伸び、10月下旬ごろに最も活発な状態に達すると見られている。

彗星は10月29日に近日点(太陽に最も近づく地点)に達する見込みだ。しかし、その時点では地球から見て太陽の背後に位置するため、直接観測するのは困難である。その後、12月頃には地球により接近し、約1億7千万マイル(約2億7千万キロ)の距離まで近づく見通しで、天文学者たちはその時点で詳細な観測を行う計画である。

この彗星が特に注目される理由は、他の恒星系に関する情報をもたらす可能性がある点にある。初期の分析では、予想以上に二酸化炭素と水の含有量が多いことが示唆されており、太陽系外の惑星系がどのように形成・進化するのかを探る手がかりになるかもしれない。科学者たちは、太陽系由来の彗星と3I/ATLASの化学組成を比較することで、地球の形成過程が銀河全体でどれほど一般的なものかを探ろうとしている。

天文学者のカレン・ミーチ氏は、この観測を「まれに見る科学的贈り物」と評している。彼女は、彗星が熱によって変化し、尾を形成する「変身の瞬間」を捉えることができたことを強調し、宇宙の物理法則をリアルタイムで研究する貴重な機会であると語った。

現在、3I/ATLASはその劇的な姿を見せつつあり、宇宙がいかにダイナミックで、私たちと繋がっているかを思い出させてくれる存在となっている。


※本稿は英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」9月9日の記事からの翻訳転載である

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