他方で、ロスアトムは財政的な障壁に直面している。同社傘下ロスエネルゴアトムのアンドレイ・ペトロフ社長は、ロスアトムが2027年から始まるプロジェクトに「資金注入」が必要になると述べた。
トルコのアックユ原子力発電所プロジェクトでは、西側の制裁によって供給業者の強制的な変更を余儀なくされるなど、既に遅延が生じている。これにより、既に拡大傾向にあった財政赤字が悪化し、潜在的な顧客の間では、ロシアが過去のようにプロジェクトに資金を供給できるのかについて懐疑的な見方が広がっている。
激しい競争が繰り広げられる原子力業界
かつてソ連から原子力技術を導入した中国は、今やロスアトムにとって深刻な脅威となっている。中国は2030年までに原子炉30基を外国で建設することを目指しており、ロシアの計画と直接競合することになる。カザフスタンではロスアトムが最初の原子力発電所建設の契約を勝ち取ったが、第2、第3の原子力発電所建設は中国のCNNCが請け負うことになっている。
中国は技術面でも引けを取らない。同国は世界で初めて第4世代原子炉を導入し、SMRの開発でも先行している。ロシアが原子力分野で長年存在感を示してきたことを考慮しても、中国の投資資金や社会基盤の開発経験、技術的専門知識に対抗するのは困難だ。
SMRは、将来の原子力分野で一定の役割を果たす可能性が高い。だが、工場での製造がコスト削減につながり、小型化に伴うメガワット当たりの高コストを相殺するという考えは、現時点では明確な証拠によって裏付けられているわけではない。ロスアトムは、SMRで稼働する世界唯一の商用浮体式原子力発電所の運営と、ウズベキスタンでのSMR原子力発電所の建設により、順調なスタートを切った。これらの技術はまだ成熟していないため、中国のロスアトムに対する現在の脅威は、コストと建設リスクを低減する量産化の進歩にある。SMRや第4世代原子炉技術で中国や米国と競争し、新たな技術的解決策を開発する能力こそが、世界的な原子力企業としてのロスアトムの回復力を試す試金石となるだろう。
一方、西側の企業にとって、ロスアトムとの競争に勝つための最大の課題は政治的資本だ。西側諸国の政府が自国の原子力企業を外交的・財政的に支援しなければ、最も革新的な欧米企業でさえロシアや中国との競争に勝てないかもしれない。西側諸国は自国の原子力産業を強化し、規制手続きを合理化することで、原子力の復興を促すことができる。原子力の将来は、かつてないほど多くの電力を必要とする世界に電力を供給するために、各国が技術や資金、政治的意思をいかに効果的に活用できるかに懸かっている。


