宇宙

2025.10.11 13:00

JAXAの新型補給機「HTV-X」、10月21日にH3で打ち上げ 油井氏が待つISSへ

新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」のイメージ (c)JAXA

新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」のイメージ (c)JAXA

遂に「HTV-X」が打ち上がる。JAXAの無人補給機HTV-Xの1号機は、2025年10月21日(火)の10時58分ごろ、H3ロケット7号機によって種子島宇宙センターから打ち上げられる予定だ。当初は2021年度のデビューが目標とされたが、設計変更やH3ロケットの開発遅延などによってデビューが遅れていた。今回すべての準備が整った「HTV-X」は、補給物資、実験資材、技術実証ミッションの機材などを搭載し、ISS(国際宇宙ステーション)へと向かう。

圧倒的な積載量、大幅な機能拡張

ISSのロボットアーム(SSRMS)でキャプチャされるHTV-Xのイメージ (c)JAXA
ISSのロボットアーム(SSRMS)でキャプチャされるHTV-Xのイメージ (c)JAXA

HTV-Xは、2020年に退役した「こうのとり」(HTV)から大幅な進化を遂げている。機体質量は「こうのとり」の16.5トンから16トンに軽量化された一方で、輸送能力は4トンから5.85トンへと約1.5倍に増加。これは空気で満たされた与圧カーゴと、宇宙空間にさらされる曝露カーゴの総量で、その積載量はノースロップ・グラマンの「シグナスXL」(5トン)の1.2倍、スペースXの「カーゴドラゴン」(3.3トン)の1.8倍、ロシアの「プログレスMS」(2.6トン)の2.3倍を誇る。

「こうのとり」の与圧カーゴには電源供給機能がなかったが、HTV-Xでは実験装置などへの電源供給が可能となった。また、これまでは打ち上げの80時間前までに物資を搭載する必要があったが、24時間前に短縮されたことで運用効率と費用対効果が向上する。HTV-Xの総開発費356億円(2025年3月時点)は、「こうのとり」(600億円)の6割に留まる。

2025年6月2日に公開されたHTV-Xの1号機 (c)JAXA
2025年6月2日に公開されたHTV-Xの1号機 (c)JAXA

HTV-Xでもっとも注目される機能が、ISSから離脱した後に長期間にわたって実施される技術実証ミッションだろう。スペースXのカーゴドラゴンは再利用型なので地表に帰還できるが、HTV-X、シグナス、プログレスはそれができず、ISSから離脱した後は大気圏再突入時に燃え尽きる。しかし、HTV-Xでは大気圏再突入までの最長1.5年の間に、軌道上を航行しながらさまざまな技術実証ミッションを実施することが可能になった

今回打ち上げられる1号機では約3カ月の実証ミッションが予定されている。その内容は、「HTV-X」からの超小型衛星の放出(H-SSOD)や、平面アンテナを搭載した軽量パネルの展開試験(DELIGHT)、新型太陽電池の実証試験(SDX)のほか、機体表面に装着された小型リフレクター(反射板)に地上からレーザーを照射し、機体との距離と機体姿勢を計測する実験も行われる。この機能拡張は宇宙開発における機会創出やコスト低減だけでなく、新たな収益源につながる可能性さえある。

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編集=安井克至

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