日本のワークプレイスの行く末
木下:私は、オフィスは社会との関係性を創造する「営業窓口」としても重要だと考えます。ワークプレイスを企業の「ブランドアイデンティティ」をPRする場だと捉え、働く人々の生き生きとした空気感を表現する“メディア”としての役割も果たすデザインを目指しています。
wwtは集団だからこそ多様な視点を持ち、実現できることがあります。現在の日本は都市集中型社会と地方分散型社会、両面での未来があると言われています。こうした土地環境をどう生かすかも設計の重要なポイントです。特にワークプレイスでは、日本のデザイナーの機微を読み取る力を世界に示せると考えます。
野村:日本のオフィスに必要なのは発信力。wwtというコンソーシアムの強みを生かし、日本の良さを届けたい。それもwwt設立の大きな目的のひとつですね。
前嶋:何百人もの当事者がいて、毎日利用されることを前提とする空間設計は、オフィスならではの特徴だと思います。オフィス設計を始めて5〜6年ですが、まだまだ新たな可能性を感じます。以前の閉じた設計から今後は、より公共的な交流の場として盛り上がっていくでしょう。
新海:賃料や工事費の高騰という制約や逆風はありながらも、ビルグレードの向上やリモートワーク環境の充実など、快適かつ効率的に働ける下地は整いつつあります。もっと日本の「当たり前」を疑い、かつ日本の魅力を生かし、ワクワクする新しい空間をつくっていきたいですね。
北村:かつて企業の自社ビルを建築家が設計していた時代がありました。建築家が企業ビルを手がける事例は、国内外においてまさに「発信力」の象徴。wwtもデベロッパーと組み、より面白い建築を社会に提案していきます。
座談会参加者

野村大輔(左上):Dada CEO・クリエイティブディレクター/建築家。電通やオールアバウトなど、多数のオフィスデザインを手がける。
新海一朗(上段中央):SIGNAL共同創業者。ショップ・オフィス・飲食空間や家具、グラフィックなど多様なデザインを手がける。日経ニューオフィス賞など受賞歴多数。
北村紀子(右上):Athena代表/ワークプレイス戦略・インテリアデザイナー。「ワークプレイスをイノベーションと成長の原動力に変える」を使命とする。
佐々木 基(左下):オカムラ スペースデザイン部部長。オフィスのインテリア設計に携わる。第24回・第29回日経ニューオフィス賞などを受賞。
前嶋章太郎(下段中央・手前):SAKUMAESHIMA主宰/建築家。NTTデータグローバルソリューションズの本社やアシックスラン東京丸の内のデザインなどを手がける。
木下陽介(右下):CANUCH CEO/デザイナー。 東京工芸大学デザイン学科助教。代表作に、ルミネオフィス、鎌倉紅谷八幡本店、TBWA\HAKUHODOオフィスのデザインなど。


