トランプ米大統領の初期の支持者の1人であるウォール街のビリオネアが出資する小規模な鉱山会社の株価が、米国政府が同社への出資を発表したことを受けて、一夜にして3倍に急騰した。
政府出資で小型鉱山株が急騰、トランプの盟友に巨額の含み益
米連邦政府は、バンクーバーを拠点とする小規模な鉱山会社Trilogy Metals(トリロジー・メタルズ)の株式10%を3560万ドル(約54億円。1ドル=152円換算)で取得すると発表した。これを受け、トランプと親しいジョン・ポールソンが、多額の棚ぼた利益を手にした。ビリオネアのポールソンは、6月末時点で同社の8.7%の株式を保有していた。
株価は一夜で3倍、ポールソンが保有する株の価値が約152億円に
Trilogy Metalsの株価は、米政府の発表を受けて10月6日の時間外取引で約3倍に急騰し、翌7日の取引開始時刻までに245%高となった。これによりポールソンの持ち分の価値は、3000万ドル(約46億円)から約1億ドル(約152億円)に膨らんだ。政府はこの投資と同時に、アラスカ州の奥地にあるアンブラー鉱区へと通じる全長約340キロの道路建設を承認した。
Trilogy Metalsは、オーストラリアの鉱山会社South32(サウス32)と共同で、アラスカ州北西部の約1910平方キロメートルに広がる「アッパー・コバック鉱物プロジェクト」を管理するAmbler Metals(アンブラー・メタルズ)を所有している。この地域には銅やコバルトなどの鉱物資源が豊富に埋蔵されているものの、プロジェクトは依然として開発・探査段階にあり、Trilogy Metalsはまだ収益を上げていない。バイデン政権は昨年、この地域の先住民コミュニティへの影響を理由に、アンブラー道路の建設計画を差し止めていた。
ホワイトハウスは資源活用を強調、盟友への利益には触れず
トランプ政権のホワイトハウスは、この合意についての声明で「経済成長と国家安全保障を最優先し、民主党が活用し損ねた米国の資源を引き出す」と誇らしげに語った。しかし、この声明は、トランプの最も忠実な支持者の1人に生じる個人的な利益について一切触れていない。



