宇宙

2025.10.09 10:00

流星群の極大夜に2つの彗星が同時出現 稀有な天体ショーを見逃さないためのアドバイス

Shutterstock.com

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2つの彗星が同時に空を駆ける──この10月は、そんな稀有な光景が天文ファンの目を楽しませてくれそうだ。「レモン彗星(C/2025 A6)」と「スワン彗星(C/2025 R2)」がほぼ同じタイミングで地球に最接近し、明るくなると予想されているからだ。順調に増光すれば、町明かりのない暗い空でなら肉眼でも見えるようになる可能性がある。

カギを握る日付は10月21日。奇しくも、オリオン座流星群の極大と新月の闇夜が重なっており、ここ数年で指折りの印象的な天体ショーへの期待が高まっている。

主なポイント

彗星の共演は数日間にわたって見られる見込みだ。特にカレンダーに印をつけるべき日時は、10月21日(火)の日の入り約45~60分後である。スワン彗星(C/2025 R2)は南南西の空に、レモン彗星(C/2025 A6)は西北西の低空に見える。

2025年10月21日、日の入り1時間後(東京:午後5時58分)の南~南西の空、スワン彗星(C/2025 R2)の位置を示した図(Stellarium)
2025年10月21日、日の入り1時間後(東京:午後5時58分)の南~南西の空、スワン彗星(C/2025 R2)の位置を示した図(Stellarium)

この日、スワン彗星(C/2025 R2)は夏の大三角の下方を、レモン彗星(C/2025 A6)は北斗七星のひしゃくの柄を伸ばした先、うしかい座のあたりを移動している。

2025年10月21日、日の入り45分後(東京:午後5時43分)の西~北西の空、レモン彗星(C/2025 A6)の位置を示した図(Stellarium)
2025年10月21日、日の入り45分後(東京:午後5時43分)の西~北西の空、レモン彗星(C/2025 A6)の位置を示した図(Stellarium)

両彗星とも、星空保護区光害マップで南と西の地平線に光源がない場所など、暗い空が確保できれば肉眼で見える明るさになると期待されているものの、双眼鏡が必要かもしれない。彗星の明るさは予測が難しいことで知られている。どちらも急激に増光(アウトバースト)して明るくなる可能性もあれば、一気に暗くなる場合もある。

日没後の空で2つの彗星の共演が始まるのは10月10日頃だが、光害のない場所で観測する計画を立てるのは10月21日前後にするのがいいだろう。その夜、オリオン座流星群が極大を迎えるからである。

スワン彗星はいつ、どこに見える?

2025年9月11日に発見されたスワン彗星(C/2025 R2)。9月17日撮影(Team Ciel Austral)
2025年9月11日に発見されたスワン彗星(C/2025 R2)。9月17日撮影(Team Ciel Austral)

青みがかった緑色の光を放つスワン彗星(C/2025 R2)は、今年9月に発見されたばかりの彗星だ。天文情報サイトSky&Telescopeによれば、北半球の中緯度地域では10月第2週から観測できるようになるとみられ、夕暮れ時に南西の低空、てんびん座付近に現れる。

その後、明るさを増しつつ左上方向に尾を伸ばし、さそり座、へびつかい座、へび座へと移動しながら日々、見える高度が上がっていく。10月14日には、へびつかい座の2等星サビク(へびつかい座η星)に大接近する。

地球に最も接近する10月20日頃に見ごろを迎えると予想されている。その後は地球から遠ざかり、明るさを失っていく。

レモン彗星はいつ、どこに見える?

2025年10月2日に撮影されたレモン彗星(C/2025 A6)(Dimitrios Katevainis, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons)
2025年10月2日に撮影されたレモン彗星(C/2025 A6)(Dimitrios Katevainis, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons)

米アリゾナ州のレモン山天文台の観測で今年1月に発見されたレモン彗星(C/2025 A6)は、地球に接近するにつれて着実に明るさを増している。地球最接近は10月21日だ。

10月上旬から観測可能となっているが、北半球から見た位置は太陽にかなり近いため、高度は低い。中旬までは未明~明け方の北東の空のほうが見つけやすく、10月12日頃に北斗七星の右側に見える。中旬以降は夕方~宵の北西~西の低空に現れ、10月16日にはりょうけん座の明るい星コルカロリから1度以内に大接近する。

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流星群の極大と彗星の見ごろが重なる

注目したいのは、オリオン座流星群が10月21日から22日にかけて極大を迎えることだ。晴れた暗い空では1時間あたり約20個の流星が出現する。流星群を最も見やすい時間帯は、オリオン座が南の空高く昇る深夜~明け方だ。

オリオン座流星群はハレー彗星が太陽系内に残した塵が地球の大気に衝突・発光して流星となる現象で、オリオン座から放射状に広がるように流れ星が走る。極大夜が新月と重なるため、彗星も流れ星も月明かりに邪魔されることなく観測できる。まさに絶好のタイミングといえる。

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forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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