AI

2025.10.12 11:15

AIが心の支え、友人や家族を抜く相談相手になる可能性、強い依存の傾向も

Getty Images

Getty Images

対話型生成AIをメンタル面の相談相手にする人が急増している。なかにはAIがいないと不安だと訴える人もあり、すでに依存の傾向が表れている。

advertisement

AIメンタルパートナーアプリ「アウェアファイ」を運営するAwarefyは、日本に住む18歳以上で生成AIの利用経験がある人たちを対象に行った調査で(分析対象834人)、AIが心の支えになってほしいと思う気持ちが、AI依存を増長していることを明らかにした。

調査では、AIに心の支えになってほしい人とほしくない人に、それぞれ依存の自覚の有無を尋ねた。すると、AIに心の支えになってほしいと思う人のうち、じつに6割以上がAIへの依存の自覚があった。これは前提条件の影響を除いた理論上の予測値を有意に上回っており、心の支えになってほしいという気持ちが依存を招くことを示唆している。

同社が8月に行った調査では、対話型生成AIを週1回以上利用する人の割合は約8割。6月の調査の5割弱から急激に増加していた。その人たちにとってAIは、友人や家族を抜いてもっとも身近な相談相手となっていて、4割の人はAIが使えなくなると不安を覚えると答えた。

advertisement

心の支えとは、具体的には不安な気持ちを落ち着けてくれる、悲しみを聞いてくれる、癒してくれる存在だ。なかには、心理カウンセラーになってほしいと言う人もいる。

これらの調査結果からAwarefyは、いつでもどこでも気軽に相談ができて、心を楽にしてくれる存在として対話型生成AIの効能を認める一方で、依存への不安やAIとの対話が増えたことで人との関わりが減ってしまうというネガティブな面も指摘している。

今回の調査でわかったのは、懸念されていた依存の傾向がすでに強く表れている事実だ。同社は対話型生成AIを開発運営する業者に対して、ユーザーがそれを心の支えとして利用することを前提に、共感と自立支援のバランスを慎重に設計することが「倫理的にも実務的にも重要」と警鐘を鳴らす。

「アウェアファイ」自体も、それが利用者の唯一の頼り先にはならず、複数ある頼り先の1つになるよう「社内の公認心理師が中心となってAIの振る舞いを調整する」と話している。人は便利なものに簡単に依存してしまう。この調査では、あたかも人情のわかる理解者であるかのようにAIと接すること、またそう期待することが依存心を高めてしまう関係性がわかった。AIは人間ではない。使う側もAIリテラシーを高め、AIの本質を見極め、ほどほどに利用することが大切だ。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事