ChatGPTやClaude、Google Gemini、Microsoft Copilotといった対話型AIから、PerplexityのようなAI検索エンジンまで。今や誰もが一度は使ったことがあるだろう、AIを搭載したサービス。その核技術である「LLM(大規模言語モデル)」の基礎理論となったTransformerモデルを提唱した論文「Attention is All You Need」、通称Transformer論文は、Google ResearchやGoogle Brainの研究者たち8人によって書かれた。
その共著者の一人が、Llion Jones(ライオン・ジョーンズ)だ。英ウェールズ出身のジョーンズは、英バーミンガム大学で修士号を取得したのち、ソフトウェア会社を経てGoogle傘下のYouTubeで勤務。その後、Google ResearchでAIを研究。2023年には、CTO(最高技術責任者)として、Google Researchの元同僚でゴールドマン・サックスでの勤務経験もあるデイビッド・ハ(CEO)、外務省やメルカリで働いていた伊藤 錬(COO)と3人でAIスタートアップ「Sakana AI(サカナAI)」を立ち上げている。
同社は2024年1月にシードラウンドで、米ベンチャー投資会社(VC)のLux CapitalとKhosla Ventures、NTTグループ、KDDI、ソニーから3000万ドルを調達。シリーズAではNVIDIAをはじめ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友銀行、みずほフィナンシャルグループ、NEC、SBIグループ、第一生命、伊藤忠グループ、ANAホールディングス、東京海上日動などから約300億円を調達し、評価額2250億円のユニコーン(評価額が10億ドル以上の未上場企業)へと成長した。「日本史上最速」である。
Forbes JAPANは2024年11月〜12月にかけて、創業者たちに取材の機会を得て「Forbes JAPAN 2025年3月号」で特集した(その後、2025年4月にForbesの「AI 50」に日本から唯一、選出された)。Sakana AIが目指す到達点とは。今後、AIが辿りうる進化の道はどういったものか。そして数多いる日本のAI人材の真のポテンシャルを解き放つには何が必要なのか━━。
2024年12月上旬に行われた、「Attention is All You Need」論文の共著者で、Sakana AI共同創業者兼CTOであるライオン・ジョーンズとのロングインタビューの後編を公開したい。



