時価総額が1500億ドル(約22.8兆円。1ドル=152円換算)規模の音楽ストリーミング大手、Spotify(スポティファイ)。その創業者でビリオネアのダニエル・エク(42)が、経営の第一線を退くことを決めた。世界の難題解決に挑むハイテク企業への投資に注力するためだ。
Spotifyの創業者ダニエル・エク、CEOを退任し会長へ移行
エクは、自身が2006年に共同設立したSpotifyのCEOを退任し、執行会長に就任する。後任には、現在共同社長を務めるアレックス・ノールストロムとグスタフ・セーデルストロムの2人が共同CEOとして昇格する。この移行は2026年1月1日に実施される。
「私は、この20年間、つまり成人後のほとんどをSpotifyのCEOとして過ごしてきた。プレーヤーからコーチに役割を変える時が来た」とエクは述べている。
共同CEOにノールストロムとセーデルストロム、数年前から後継体制を準備
Spotifyは数年前から静かにこの移行に向けた準備を進めてきた。2023年、エクはノールストロムとセーデルストロムを共同社長に昇格させて彼らの権限を拡大し、経営の経験を積ませてきた。「今がその時だ。2人の成長を妨げたくない。2人は十分な能力があり、準備もできている。2人のコンビはかつての私よりもずっと優れた経営者になれる」とエクは語る。
ノールストロムとセーデルストロムの2人は、いずれも十数年前にSpotifyに加わる前、複数のスタートアップで経験を積んでいた。ノールストロムはビジネス、マーケティング、コンテンツを統括し、エンジニア出身のセーデルストロムは技術と製品面に特化してきた。「2人の体制は間違いなくうまくいくだろうと確信している。これまで全速力で実践してきた彼らを見てきたが、もう本番に臨む準備はできている」とSpotifyの取締役ウッディ・マーシャルは語る。
一方でエクは今後、執行会長として会社の長期戦略と主要な投資を担当すると述べている。「これまでの課題は、彼らの実行力を最大限に活かしながら、創業者主導の体制をどう維持するかだった」とエクは説明する。「私は今後、企業の長期的な方向性や重要な戦略、資本配分の大きな判断に関わる。ただ、誤解のないように言っておきたい。会社を運営するのは彼らであり、意思決定も彼らが行う。彼らこそがCEOだ」。



