ピニオン Smart.Shiftは、このような従来は手動でやっていたギアの切り替えをすべて電子制御で行う。基本的にはレバーに触るだけで、電子音が1秒ほど聞こえて自動的にギアが切り替わる。変速の動作は素早く、静かで、滑らかなので、自転車を走らせるのが本当に楽しい。スマートフォンに専用アプリをダウンロードすれば、最初に走り始めるときのギアをあらかじめ設定しておける。
なぜ、そんなことをする必要があるのか? 例えば、高い(重い)ギアで下り坂を走ってきて赤信号で停止したとしよう。そして信号が青に変わって再び走り始めようとしたとき、ギアが高いままだとペダルが重くて楽に漕ぎ出せないかもしれない。アプリを使えば、任意のギアを走り始めるときのスタートギアに設定しておくことが可能であり、赤信号などで停止すると、自動的にそのスタートギアに切り替わる。信号が青に変わったときには、すでに自分が望む適度に軽いギアに切り替わっているため、すぐに楽に漕ぎ出せるというわけだ。
さらにアプリでは、希望するケイデンスも設定しておけるので、速度や路面の斜度や風の状態に関わらず、常に同程度のペダルの抵抗が感じられるように自動的にギアが切り替わり、一定のケイデンスを維持するのに役立つ。
他社のeバイクでもまったく同じかどうかは未確認だが、Smart.Shiftはプライオリティ社のスカイラインでは完璧に動作している。このeバイク自体が見た目も乗り心地も素晴らしい。基本的に市場では、万人向けの電動コミューターバイクとして販売されている製品で、実際に乗ってみると、確かに通勤などで自動車の代わりに使えると感じた。
オートモードでは、ほとんど自動的に制御される。筆者は自宅近辺の坂の多い地域で頻繁に乗っているのだが、乗る喜びが味わえることを発見した。特に旧式の電動アシスト自転車と比べるとその差は大きい。スカイラインの価格は日本円で約60万円だが、このような高級高性能eバイクとして確かな価値が感じられる。調べてみると、このテクノロジーを搭載した他社のeバイクにはもっとずっと高価格な製品が多いことに気づいた。結論を言おう。直感的に操作でき、自転車に乗る喜びを与えてくれるSmart.Shiftが、私は大いに気に入った。


