三重県のクラフトビールメーカーが宇宙ビールの醸造に乗り出した。国際宇宙ステーション(ISS)で酵母を発酵させ、宇宙生まれのクラフトビールを作るという。まだまだ実験段階だが、将来の人類の宇宙進出を念頭に宇宙での発酵食品の生産を目指す壮大な計画の始まりだ。
ISEKADOのブランドで知られる二軒茶屋餅角屋本店は、クラフトビール国際大会最多受賞を誇るブリュワリー。酵母の自家培養にこだわり、社長自身がそのために博士号を取得している。そのほか博士号、修士号を持つスタッフも多く、「研究開発型ブリュワリー」を自称している。

今回のプロジェクトの本来の目的は、微小重力環境が酵母の活動にどう影響するかを調べることにある。将来、人々が宇宙で長期滞在するようになったときのために、食料生産を支援する宇宙での発酵技術を開発するためだ。もちろん、宇宙ホテルで「宇宙クラフトビール」を楽しむという大きな夢もある。
この実験は、ISSの日本実験棟「きぼう」の有償利用制度を利用して行われる。東洋製罐グループホールディングスがキリンビールの技術協力のもとで開発する特殊醸造容器をISSに持ち込み、そこで宇宙分野での実績を持つ高砂電気工業のノウハウを活かして、ISEKADOが厳選した酵母と麦汁で発酵実験を行う。うまくいけば2026年に実施される予定だ。ISSで発酵した酵母は地上に持ち帰り、それを使ってビールが仕込まれることになっている。



