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2025.10.24 16:00

次世代のインフラを築く「SERAカンパニー」構想とは 東光高岳が描く新たな成長構想

多様な電力ネットワーク機器を開発・供給し、100年にわたり日本の電力基盤を築き支えてきた東光高岳。今、「SERAカンパニー」なる構想を軸に、再エネ時代のインフラづくりと持続可能な社会の実現に向けた変革が動き出している。


「この会社には可能性がある」

これは、東京電力で長年現場に立ち、東光高岳の製品を使ってきた一ノ瀬貴士(以下、一ノ瀬)が、2021年に東光高岳の代表取締役社長として、初めて事業に向きあったときの率直な感想だ。

1928年創業の東光電気と1918年創業の高岳製作所をルーツにもつ東光高岳は、受変電設備、配電機器、スマートメーター、変成器、監視・計測・制御装置など、超高圧から低圧まで幅広い電力ネットワーク関連機器を手がけ、日本の電力インフラを支えてきた。一ノ瀬は、同社に参画した当時の印象を、次のように振り返る。

「東京電力の現場で接してきた配電機器などに加え、EV急速充電器や半導体検査装置といった先進事業も手がけていることを知り、将来性と技術力を兼ね備えた企業だとあらためて実感しました」

現在、電力需要をめぐる環境は大きな転換点を迎えている。人口減少で縮小が予想されていた国内の電力需要は、生成AIの普及やデータセンター・半導体工場の急増、電動化・電熱化の進展、水素製造の導入を背景に増加へ転じている。これに伴い、電力ネットワーク関連機器の新設・更新需要も拡大。一方で、カーボンニュートラル対応やデジタルグリッドの進展により、製品・サービスに求められる要件は大きく変わりつつある。一ノ瀬はこうした変化を事業成長の好機ととらえ、次のステージへと舵を切った。

SERAを羅針盤に据えた 新たな組織変革への挑戦

一ノ瀬は2025年を「新生 東光高岳元年」と位置づけ、新たな経営理念を制定。「安全・安心・快適な生活と社会のサステナブルな発展を支え続ける」というパーパスを掲げ、「SERAカンパニー」を目指すというビジョンを打ち出した。

「再生可能エネルギーの拡大、災害リスクの増大、そして持続可能な社会づくりに対するニーズに応えるには、社会全体の変革を促す存在へと進化しなければならない。そのための羅針盤がSERAです」

「SERA」は“Seamless Energy Relations & Activation”の頭文字で、「シームレスにエネルギーをつなぎ、社会を活性化させたい」という思いを込めたものだ。もともとは同社のEV急速充電器のブランド名として誕生したが、「深く考えるほど全事業に通じるコンセプトだと気づいた」と一ノ瀬は明かす。

「変圧器は異なる電圧階級を、開閉器はネットワーク間を、スマートメーターは電力とデジタルをつなぐ役割を担っています。いわば、当社は社会インフラのなかでエネルギーの『結節点』を担う存在です。これは人と人、部門と部門、現場と経営をつなぐ組織づくりにも通じます。技術がエネルギーを結びつけるように、社員同士のエネルギーもシームレスにつながる。SERAという言葉には、そんな組織でありたいという思いも込めています」

一ノ瀬がこう語る背景には、就任直後に発覚した不適切検査問題がある。

「老舗企業だからこそ、過去の成功体験や慣習が当たり前として根付いてしまう。『これくらいは問題ない』という空気が、知らず知らずのうちに、安全や品質よりも、効率を優先させていたと思います。また、現場の課題や違和感が経営に届かない構造もありました。そうした断絶が、問題を見過ごすことにつながった。だからこそ、常識を疑い、ゼロから仕事を見直すことを始めました」

この危機を教訓に、全社で「SQCファースト(安全・品質・コンプライアンス最優先)」を徹底し、一ノ瀬は、現場との対話を経営の中心に据える体制を築いてきた。SERAカンパニーの理念は単なる技術ビジョンではなく、組織の在り方にも直結している。

技術の深化・進化と対話で築く次の100年

次世代インフラには「ハイブリッド」「クリーン」「スマート」の3つの視点が求められると一ノ瀬は分析する。「ハイブリッド」は広域電力網と分散型配電網の共存構造を指し、「クリーン」は再エネ・蓄電池の面的普及や環境配慮型機器の導入、「スマート」はIoTやAIによるデジタル化・メンテナンス高度化を意味する。この3つの視点に対し、長年培ったものづくり力を深化・進化させ、デジタル技術と融合して応えていくという。

具体的には「EV急速充電器」「次世代スマートメーター」「半導体検査」の3事業を重点領域に設定。EV急速充電器事業では09年に初号機を市場に投入し、企業としてパイオニア的地位を確立してきた。現在は15kW機から最大400kW機(年内販売開始予定)まで対応し、累計販売台数は6,000口を超える。同社は、この実績を社会のエネルギー基盤強化へと発展させようとしている。

「EV車を充電する拠点は単なる給電装置ではなく、エネルギーを蓄え社会とつなぐ『街の蓄電池』として機能させることができる。その可能性を最大限に引き出すことが、次世代のエネルギーハブづくりにつながると考えています。構想の先には、大規模停電時に充電器ネットワークから地域へ電力を供給するマイクログリッドや、充電中に車のバッテリー状態を診断するサービスなどもあります。自社運営のEV充電サービス『aima CHARGE(アイマチャージ)』を、その実証の場としていきたい」

次世代スマートメーター関連事業では、グループ企業の東光東芝メーターシステムズが、26年に本格導入される次世代スマートメーターの開発と自動化率100%の製造ラインを整備。25年度内には量産・出荷を開始予定で、ユニット供給から最終組立・ペアリングまでワンストップで提供できる体制を整える。

次世代スマートメーターは、5分ごとの計測や遠隔制御に加え、高齢者見守りなどへの応用も考えられ、一ノ瀬は「電力使用量の計量の先に、配電網の異常検知や暮らしの質的向上につながるサービスを組み込みたい」と展望する。さらに、光応用検査機器による半導体パッケージ基板の三次元計測技術は国内トップレベルを誇り、電力以外のエレクトロニクス分野にも展開している。

こうした多様な事業を確実に前進させるため、一ノ瀬が何より重視しているのが対話だ。24年からは社員と自由に意見を交わせる対話会を毎月実施。

「現場の声を経営に反映することで、組織は強くなる。SQCファーストの姿勢を徹底しながら、社員が自分の仕事に誇りをもてる環境をつくることが、次の100年につながると信じています」

東光高岳は、エネルギーをつなぐ技術と、人をつなぐ思想というふたつの軸で成長を描いている。現場と経営をつなぐ姿勢、SQCファーストの文化は、未来への成長基盤となるだろう。

「100年先の社会がどのように変化していても、電力の安定供給と高度利用を支える使命は変わりません。社会の発展を支える『SERAカンパニー』として、未来に必要とされる価値をつくり続けていきたいと考えています」

東光高岳
https://www.tktk.co.jp/


いちのせ・たかし◎東光高岳 代表取締役社長、東光東芝メーターシステムズ代表取締役会長。東電タウンプランニング 代表取締役社長、東京電力ホールディングス執行役員組織・労務人事室長などの要職を歴任後、2021年6月より現職。

promoted by 東光高岳 | text by Motoki Honma | photographs by Daichi Saito | edited by Aya Ohtou(CRAING)