キャリア

2025.10.08 12:30

職場で目立つと叩かれる「トールポピー症候群」、それでも挑戦を続けキャリアを築く方法

Shutterstock.com

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競争の激しい雇用市場で目立ちたいとみんなが思っている。だが、極めて厳しい制限に直面している今、職場で「優秀な人材」になるのは簡単ではない。

雇用主が予算削減や水面下でのリストラを行い、大規模なレイオフを続けているため、職場で目立つのは以前にも増して難しくなっている。まるでそうした環境が十分な障壁でないかのように、「トールポピー症候群」として知られる障害によってあなたの成功への道のりは停滞することもある。あなたがうまくやっているがゆえに、同僚があなたを批判したり不利な状況に置いたり、あるいは名誉を傷つけたりするのだ。

トールポピー症候群とは

トールポピー症候群は、野原で最も背の高いポピーが目立ち、切られる危険があることからきている。この言葉はもともとオーストラリアやニュージーランド、英国で使用されていたもので、優秀な成績を収めている同僚に憤りや批判を向けて相手を微妙に不利な状況に置くことを指す。具体的な行為としては排除や軽視、過小評価などがある(編集部注:日本語の「出る杭は打たれる」に近い意味となる)。

言い換えると、同僚は「出世階段を上ろうとやる気に満ちているかもしれないが、私たちよりも目立たない方がいい。さもなければ、あなたを懲らしめるようになる」というメッセージであなたのやる気を削ぐ。このメッセージは「実力を証明する」まで有望な従業員をその場に留めておくための手段であり、新入社員や経験の浅い従業員、あるいは権利を奪われたマイノリティグループに足する人に対してはなおさらそのように作用する。

私は職場での攻撃としてのトールポピー症候群を目にしたことがある。野心的な女性の従業員に同僚たちは「彼女は一線を越えている。自分を何様だと思ってるんだ」と怒りの矛先を向ける。出世の階段を上るのがあまりに早い新入社員に対しては「彼はまだ青二才で、少し控え目になる必要がある」と注文をつける。柔軟性とワークライフバランスを主張するZ世代の若手には「彼女は制度に反抗し、管理しにくい」と冷ややかで、革新的なアイデアを持つスマートで創造的な従業員には「彼は変人だ」などと言う。

静かなカバーリング」が競争の激しい今日の職場でトレンドになっているのも不思議ではない。静かなカバーリングとは、従業員が職場に溶け込んだり、昇進に適しているように見られるよう、決めつけや固定観念を避けるために自分の個人的な側面を隠す傾向のことだ。

カバーリングの最たる例として、労働者が職場で受け入れられていると感じたり、解雇を免れたり、昇進したりするために人種・民族、性別、性的指向、年齢、宗教、障害など、個人の特性を見せないようにすることが挙げられる。

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翻訳=溝口慈子

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