時を超えるハイジュエリーと92年前の東京で出会う

会場風景 東京都庭園美術館 本館 大食堂 (c)Van Cleef & Arpels

「究極の実用品」を見に行く意味

絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット 1924年 プラチナ、エメラルド、ルビー、オニキス、イエローダイヤモンド、ダイヤモンド (c)Van Cleef & Arpels
絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット 1924年 プラチナ、エメラルド、ルビー、オニキス、イエローダイヤモンド、ダイヤモンド (c)Van Cleef & Arpels

約250点のジュエリーと約60点のアーカイブ資料。1924年の《絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット》をはじめ、アール・デコ期の傑作が並ぶ。

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「装飾美術は日常生活を豊かにするもの。ジュエリーは身につけて喜びや幸せを感じる、究極の実用品です」

会場で聞いたこの言葉が印象に残る。高額なジュエリーが「実用品」というパラドックス。でも確かに、絵画のように壁に飾るものではなく、身につけることで完成する芸術だ。

カメリア ミノディエール  1938年 イエローゴールド、ミステリーセット ルビー、ルビー (c)Van Cleef & Arpels
カメリア ミノディエール 1938年 イエローゴールド、ミステリーセット ルビー、ルビー (c)Van Cleef & Arpels

アール・デコ博覧会100周年を記念した本展は、来年1月18日まで。秋の柔らかな光から、冬の鋭い陽射しへ。季節とともに変わるジュエリーの表情を見られるのも、この展覧会ならでは。一部屋ごとに異なるコンセプト、異なる光。旧朝香宮邸を歩くこと自体が、タイムトラベルのような体験だ。

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美術館を出たあと、コンビニの蛍光灯がやけに白く見えた。タイムマシンの副作用かもしれない。過去の美しいものを濃密に体験すると、現在がくっきり見えてくる。いいことも、そうでないことも。

ラグジュアリーメゾンが莫大な費用をかけて展覧会をひらく理由が、ようやくわかった気がする。慈善的な文化事業にとどまらない意味があるのだと思う。すなわち、これは100年という時間の重みを、身体で感じさせる装置だ。

その重みを知ったあとでは、世界の見え方が少し変わる。

永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル — ハイジュエリーが語るアール・デコ

会期:2025年9月27日(土)〜2026年1月18日(日) 
会場:東京都庭園美術館 (東京都港区白金台5-21-9 )
開館時間:10:00〜18:00(入館は閉館の30分前まで)
※11月21日(金)、22日(土)、28日(金)、29日(土)、12月5日(金)、6日(土)は20:00まで(入館はいずれも閉館の30分前まで) 
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は開館、翌平日休館)、年末年始(12月28日〜1月4日) 
観覧料:一般1400円、大学生(専修・各種専門学校含む)1120円、高校生・65歳以上700円
※日時指定予約制
公式サイト:https://art.nikkei.com/timeless-art-deco/

文=青山鼓

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