3. アイデンティティと結びつける
クリアーの本で最も重大な考え方は、本当の変化は行動だけでなく、自分のアイデンティティを変えることから生まれるというものだ。ほとんどの人は「体重を減らしたい」というような結果や、せいぜい「週3回ジムに通う」というようなプロセスに注意を向けることから始める。だがクリアーは著書の中で、変化の最も強力な原動力の1つは自分のアイデンティティだと主張している。つまり、運動を欠かさないような人間になることに集中すればいい。
自分のアイデンティティと自分の望むゴールとを一致させる
自分のアイデンティティを自分の望むゴールと一致するものに変えることに集中すれば、あらゆる小さな行動がなりたい自分に近づくものになる。1ページ読めば読書家になる。短距離を走ればランナーになる。ペットボトルを1本リサイクルすれば環境への意識が高まる。1つ1つの行動があなたという人となりを強化する。
専門誌『Frontiers in Psychology(フロンティアーズ・イン・サイコロジー)』に2019年に掲載された研究で、研究者らは習慣とその人のアイデンティティ意識、特に「本当の自分」についての考えとの関連性を調べるために2つの研究を行った。
研究参加者は80の日常行動を2つの側面から評価した。1つはその行動がどの程度習慣的であるか、そしてもう1つはその行動が自分の核となる価値観や自覚をどれだけ反映しているかというものだ。これらの80の行動は、健康、社会とのつながり、自己成長など10の基本的価値観を表すものだった。
最初の研究では、その人の習慣が自分のアイデンティティとどの程度強く一致しているか、また、それが自尊心や自己関連情報の優先順位付け、自分の理想像に向けた努力といった他の心理的尺度とどう関連しているかを調べた。その結果、習慣が自分のアイデンティティを反映している人は自己肯定感が強く、理想の自分を目指す気持ちが強い傾向にあることがわかった。
2つ目の研究では、習慣を個人の価値観と明示的に結びつけることで、習慣とアイデンティティの結びつきが強まるかどうかを検証した。参加者には、自分の行動がどのような価値観のもとに行われているかを確認してもらった。その結果、習慣が重要な目標や価値観と意識的に結びつけられると、習慣とアイデンティティの結びつきが強くなることがわかった。
簡単に言えば、習慣はその人のアイデンティティや核となる価値観と結びついていれば定着しやすく、行動に影響を及ぼしやすいということだ。
やる気に頼ると失敗しやすい──時間をかけて正しい方法で小さな変化を積み重ねる
多くの人は、長く続く変化はやる気から生まれると考えている。「その気にさえなれば」新しい習慣を定着させることができると思っているのだ。実際のところは、やる気は当てにならない。習慣は一貫性の上に築かれる。
習慣を変えるのは、スイッチを切り替えるほど簡単なことではない。多くの人は、一晩で「新しい人間」になった自分を想像し、あふれんばかりのやる気やひらめきと共に期待に胸を膨らませて取り組み始める。
重要なのは、忍耐と自分に対する思いやりをもって習慣の変化に取り組むことだ。そのプロセスは日々目に見えないように感じるかもしれないが、数週間、数カ月かけて正しい方法で小さな変化を積み重ねていけば、自然で持続可能だと感じられる方法で徐々に人生を変えることができる。
やる気が出るのを待つ必要はない。良い習慣が自分の一部となるまで毎日、良い習慣が自然に身につくような状況を作るのだ。


