センシティブ・ストライバーとエグゼクティブ・プレゼンス
センシティブ・ストライバーは、他人への影響力が損なわれるのではないかと考えるかもしれない。しかし実のところあなたは、本質的に、真正なエグゼクティブ・プレゼンスを発揮できる要素を持っている。そして、人口の大多数にあたる80%はこの要素を持たない。
エグゼクティブ・プレゼンスの柱は共感であり、センシティブ・ストライバーは確実に共感力を持っている。繊細な人ほど、共感力を担うミラー・ニューロンの働きが活発であることが、科学的に証明されている。つまり、センシティブ・ストライバーであるあなたは、他の人の感情をより鋭く感じ取れるのだ。だからこそ、言外の意味を読み取って、人が動揺しているときや、さらなる支えが必要なときには、それを察知できる。また、対立が生まれそうな兆候に気付き、状況を改善することも可能だ。
エグゼクティブ・プレゼンスはまた、あなたが他の人にどのような感情を抱かせるか、ということにも大きく左右される。言い方を変えれば、あなたがいる場で、他の人がどう感じるかが大きな決め手になるのだ。あなたがいると相手が自己肯定感を持てるようになることは、ほかの何よりも、あなたの存在感にとってプラスになる。
センシティブ・ストライバーとして、深く考え、感じる力も、人に希望やインスピレーションを与えたり、人を興奮させたり、楽観的な気分にさせたりすることにつながっている。危機や混乱が生じたときには、あなたは他の人を落ち着かせ、秩序と規律をもたらす存在になる。人を励まし、受け入れ、評価しようとする姿勢は、士気を高め、心理的な安全性をもたらす。こうしたことはみな、あなたの強みであり、スーパーパワーなのだ。
エグゼクティブ・プレゼンスを高める「4つの秘訣」
センシティブ・ストライバーとしての素質が、エグゼクティブ・プレゼンスにプラスの影響をもたらすことを理解したところで、次は実践方法について話していきたい。
具体的には、会議で発言し、自分の意見をより主張し、印象を与えるための方法だ。「自分は(有能でないのに有能であるかのようにふるまう)詐欺師のように感じてしまう」というインポスター症候群や不安に邪魔されずにそう行動するには、どうしたらいいのだろうか。
(1)早い段階で発言する
ミーティングが始まった早い段階で発言すると、あとになってから口を開く人よりも、自信があるように見られる。次のミーティングでは、2番目か3番目に発言することを目標にしよう。発言が遅くなればなるほど、良いアイデアが先に出尽くしてしまったり、出席者の関心がほかに向いてしまったりするので、言い出しにくくなる。
だからといって、誰も提案しないような革新的な意見を言う必要はない。他の人の意見に追加するような形で考えを述べたり、示唆に富む質問を投げかけたりするだけで十分だ。
(2)話の要点を後回しにしない
センシティブ・ストライバーは、話が長くなりがちだ。それは、背景や、結論に至るまでの経緯、今後の手順、検討事項などをはじめに詳しく説明しようとしがちだからだ。しかし、人の注意を引き付けられる平均時間が8秒であることを思えば、それは間違いだ。
延々と話さずに、相手に理解してほしい重要なメッセージをまず伝えよう。要点を後回しにしてはいけない。
(3)インパクトに焦点を置く
重要なメッセージを伝えると同時に、インパクトに焦点を置いた話になるよう心がけてほしい。自分の取り組みが、聴く人にとって何を意味するのかを考え、伝えよう。
どんな成果や結果につながるのか。あなたの仕事は、会社の未来や収益にとってどういう意味を持つのか。
より大きな全体像の中で、あなたの意見はどのように重要な意味を帯びるのか。そこを人々に理解してもらえると、説得力が増すだろう。
(4)話は簡潔に
一般的には、話は短い方がいい。メッセージは、言葉を減らせば強さを増し、言葉を増やすと弱くなる。余計な修飾語や形容詞、ためらいや、つなぎの言葉は削ろう。
自分の不安を必死に埋め合わせるため、あるいは、聴く人が退屈したり興味を失ったりするリスクを避けるために余計なことを言おうとするくらいなら、話を簡潔にして、人々から質問を引き出す方がいい。


