高い完成度、グーグルが「次に目指す」ものとは
折りたたみデザインを採用し、内側の大きな画面を開けばタブレットのように使えるPixel 10 Pro Foldは、仕事の生産性も高めてくれるスマートフォンなのだろうか。
本機には内側の8インチディスプレイを左右に分割し、それぞれに異なるアプリを同時に表示して操作できる「分割スクリーン」機能がある。移動中に複数のアプリを立ち上げてメモを取ったり、データをチェックしたり、Geminiを併用しながらマルチタスキングができるので、確かに便利で役立つ。

筆者は入浴時間中にレポートの草稿をまとめたり、あわよくば原稿の執筆にも使える防水対応のタブレットをいつも探している。今のところサムスンのGalaxy Tabシリーズが、付属するSペンも防水仕様という最適解だが、Pixel 10 Pro FoldもIP68等級の防塵・防水性能を備えるスマートフォンだ。浴室内にも気軽に持ち込めるサイズ感が良かった。手書きメモ用にスタイラスペンもあれば最高だった。
Pixel 10 Pro Foldのような折りたたみデザインのスマートフォンは、使ってみると通常のストレート型デザインのスマートフォンでは得られない楽しみ方に出会える。電子書籍やビデオコンテンツを視聴する際の快適さは、明らかにPixel 10 Pro Foldの方に軍配が上がる。
だが、それだけではPixel 10 Pro、Pixel 10 Pro XLよりも7万円以上高価な税込26万7500円からのFoldを勢いで選べないと筆者は思う。折りたたみデザインのPixelスマホを、これから本格的に普及させるのであれば、グーグルによるあともう一押しが必要だと思う。
例えば周辺アクセサリーを強化して、グーグル独自の新しいフォルダブルなAIスマホの楽しみ方を提案する方法がある。
Fold専用というわけではないが、グーグルは10月9日に新しいスマートウォッチのGoogle Pixel Watch 4とワイヤレスイヤホンのGoogle Pixel Buds 2aも発売する。ウォッチは税込5万2800円から、イヤホンは税込2万3800円からという、値段も比較的手頃なデバイスだ。

Pixel 10 Pro Foldにペアリングして使ってみたところ、それぞれのデバイスからGeminiが起動して、スピード感・精度ともにGeminiの音声操作が軽快にできた。これならば仕事の情報検索やアイデア出しの際にPixelスマートフォンと一緒に効果的な使い方ができそうだ。
もうひとつはコストパフォーマンスを重視するPixel aシリーズの価格帯にもFoldを展開できれば、ビジネスパーソンやクリエイターを中心に多く選ばれる可能性があると思う。
本体が折りたためるAIスマートフォンとして、最新のPixel 10 Pro Foldは高い完成度に到達している。これからは、エコシステムとラインナップの拡充を積極的に進める段階に入るだろう。
連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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