地球上の生物多様性の規模は、考えれば考えるほど、ありえないものに思えてくる。アリよりも小さな生物もいれば、全長がスクールバス3台分に匹敵する生物もいる。まさしく、宇宙の神秘そのものだ。
進化生物学者として筆者は、動物のサイズが、それぞれの生態系における役割や進化の歴史とどう関係するのかを研究してきた。なぜ一部の動物はとてつもなく巨大になり、ほかの動物は小さいままでい続けたのだろう?
一言で答えるなら、それは「適応」だ。それぞれの種に固有のサイズは、その種がいかに首尾よく生態系のなかで居場所を見つけ出したかを物語る。なかには、生き方のすべてがサイズに規定されている動物もいる。
以下では、これまでこの星に誕生したなかで最大級の動物5種を紹介していこう。ネタバレになるが、これらの巨大動物のなかで現代に生きているのは1種だけ。ほかはすべて絶滅種だ。
1. シロナガスクジラ(学名:Balaenoptera musculus)
サイズに関して、現生の動物でシロナガスクジラに並ぶものはない。それどころかシロナガスクジラは、地球上にこれまでに誕生したなかで最大の動物だ。
シロナガスクジラの最大全長は30m、体重は200トンに達する。この桁外れの巨体は、既知の最大の恐竜をも上回る。
進化的に見ると、シロナガスクジラの巨大化は、数千万年にわたる海中生活への適応の賜物だ。巨体のおかげで、食料を求めて長距離を移動することができる(食料は主に小さなオキアミで、膨大な量を食べる)。海水の浮力は、これほどの巨体を可能にする物理環境を形成している。対照的に、陸生動物は重力に支配されるため、サイズに関してより厳しい制約がある。
サイズに加えて、シロナガスクジラの興味深い点は、その生態系における役割だ。とてつもなく大きな動物でありながら、彼らが食べるオキアミは、地球上でも最小クラスの動物なのだ。



