米国時間10月28日と29日に開催される次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、再び利下げが実施されるとの予想が広がっている。もし利下げが行われれば、フェデラルファンド金利は3.75%から4%の範囲へと引き下げられる見通しだ。
債券市場はこの利下げを織り込みつつあり、9月に発表されたFOMCの経済見通し(SEP)でも、年内のさらなる利下げが予想されていた。最近の労働市場データはやや軟調であり、インフレ率は連邦準備制度理事会(FRB)が掲げる年率2%の目標を上回っているものの、制御可能な水準にあるように見える。こうした状況から、雇用市場のリスクを抑制するために利下げを実施する可能性は高いと考えられている。
一部理事からの利下げ要請
FRB理事のうち、特にクリストファー・ウォーラー、スティーブン・ミラン、ミシェル・ボウマンの3人が、今後の利下げを強く支持する姿勢を明確にしている。
ウォーラーは複数の講演で利下げの必要性を強調してきた。8月28日にマイアミで行われた講演では、「今後3カ月から6カ月の間に追加利下げを実施すると予想している。利下げのペースは今後の経済データ次第だ」と述べた。これはFOMCの直近会合より前の発言だが、ウォーラーの見解に大きな変化があった形跡はない。
先日トランプによりFRB理事に指名されたばかりのミランは極めてハト派的な姿勢をとっており、ニューヨークでの講演で「短期金利は2%に近い水準にあるべきだ」と主張した。ただし、彼のこうした主張は、トランプ大統領の「より低い金利を求める要請」に沿ったものとみられる。
ボウマンは9月26日に行われたニューヨークでの講演で次のように述べている。「私の見解では、最近のデータ、特に雇用統計のベンチマーク改定を含めると、労働市場の悪化に対処する上で、すでに対応が遅れつつあるという深刻なリスクがあると考えている」
他の理事のより慎重な見解
一方で、他の理事たちはより慎重でバランスの取れた発言をしている。たとえば、FRB議長のジェローム・パウエルは9月23日にこのように述べた。
「もし我々が過度に、そして急速に緩和すれば、インフレを抑制するという仕事を途中で終えてしまい、後に2%のインフレ目標を達成するために再び引き締めを行う必要が生じる。一方で、引き締めを長く維持しすぎれば、労働市場を不必要に弱める可能性がある。我々の目標がこのように対立する場合、デュアル・マンデート(2つの使命)をバランスさせることが我々の枠組みの基本である」



