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2025.10.07 16:30

AMD株、OpenAIとの数十億ドル規模の契約で30%急騰

Tom Williams/CQ-Roll Call, Inc via Getty Images

Tom Williams/CQ-Roll Call, Inc via Getty Images

米半導体メーカーのアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の株価は、米国時間10月6日の取引開始直後に急騰した。AI開発企業、OpenAIとの数十億ドル規模の契約を発表したことがきっかけだ。この提携は、競合のインテル株の取得計画を明らかにしたAI大手エヌビディアに対抗する動きとなる可能性がある。

両社の発表によると、OpenAIはAMD製AI半導体を合計6ギガワット分取得して導入する予定であり、そのうち最初の1ギガワット分は2026年に展開を開始するという。

規制当局への届け出によれば、AMDはOpenAIに対し、1株あたり0.01ドルで最大1億6000万株分のワラントを発行した。これは全AMD株の約10%分に相当し、特定の株価目標を達成した段階で段階的に権利が確定する仕組みである。

このワラントは複数のマイルストーンに基づいて権利が確定し、最終的なマイルストーンは、AMDの株価が現在の3倍にあたる600ドルに上昇することが条件となっている。

両社の発表では契約の正確な金額は明らかにされていないが、AMDはChatGPTの開発元であるOpenAIとの提携により、「数百億ドル規模の収益」をもたらす見込みだとしている。

この契約は、AMDがAI半導体市場におけるエヌビディアの独占的地位に挑む中で、これまでで最も大きな成果であり、同時にOpenAIにとってもエヌビディア製GPUへの依存度を下げる助けとなる。

6日の取引開始後、AMDの株価は30%以上上昇して約215ドルとなり、1日の上昇率としては2016年4月以来最大となった。テクノロジー株の比重が高いナスダック総合指数も0.3%上昇し、マイクロンが6%、パランティアが4.9%、インテルが4%上昇した。テスラは新モデルとみられるティーザー映像を公開後、株価が3%上昇した。一方、AMDの発表を受けてエヌビディアの株価は0.2%下落した。

AMD株の急騰により、リサ・スーCEOの純資産は約2億4100万ドル(約362億円)増加し、その総額は14億ドル(約2100億円)と推定される。推定資産額は今回の株価急騰で20.5%増加した。スーはかつてテキサス・インスツルメンツとIBMに勤め、2012年にAMDに入社、2014年にCEOに就任し、2024年にはビリオネアとなった人物である。

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翻訳=江津拓哉

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