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2025.10.09 10:00

アマゾンは米警察の意思決定を奪うか──銃検知AIから補助金獲得までAWSが主導

bluestork / Shutterstock.com

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米国の警察は州や郡ごとに独立しており、装備やIT導入も各組織の裁量に委ねられている。この分散構造を突いて勢力を伸ばしているのが米アマゾンだ。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の担当者は警察幹部に直接メールを送り、銃器検知AI「ZeroEyes」の学校導入を提案していたことが公的記録によって明らかになっている。補助金の制度内容まで自ら調べると申し出ており、営業支援の域を超え、行政側の意思決定プロセスに踏み込む動きとも読み取れる。

ZeroEyesは既存の監視カメラに人工知能(AI)を接続し、銃を持った人物を検知すると即座にオペレーターが確認して通報する仕組みだが、実態は「常時監視と行動追跡を可能にする監視インフラ」そのものだ。

名目上は「治安向上のための支援」にすぎない。しかしアマゾンは銃検知にとどまらず、ナンバープレート追跡、受刑者通話の自動文字起こし、顔認識に近い個人特定AIまでAWS上で一括提供している。治安強化の名の下に、公共セクター全体が単一の私企業のデータ基盤に接続されつつあるという構図だ。もはや“AI監視国家”の設計図そのものが、アマゾンのクラウド上に構築されつつある。

他社製品が採用されても、最終的な利益はAWSに集まる構造

2023年半ば、カリフォルニア州サンディエゴ郡保安局は、ドローン監視の高度化を検討していた。そこで従来の警察向け機器メーカーに加えて支援を申し出たのが、アマゾンのアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)だった。

AWSは、ライブ映像や静止画像の中から銃器や注目すべき物体を自動検知し、その位置情報を添えて警察官にテキスト通知を送るAIツールの試作品を提案した。

サンディエゴ郡はデモを受けたものの採用は見送った。同局はまた、アマゾン傘下のゲーム配信サービス「Twitch」を支えるライブ配信ソフトを用い、自らのドローン映像をリアルタイムで配信する試験も行ったが、最終的にはNomad Media(ノマド・メディア)を選んだ。ただしアマゾンはその案件でも利益を得ている。Nomad Mediaは、AWSと密接に提携しており、自社ソフトをAWSのクラウド上で運用しているからだ。さらに、同社の物体検知機能は、サンディエゴ郡や他の顧客が利用を選んだ場合、アマゾンの画像・映像解析AI「Rekognition(レコグニション)」によって動作する仕組みになっている。

Nomad Mediaのアダム・ミラーCEOはフォーブスに対し、同社がアマゾンと共同で市場開拓を進めていると説明し、「我々は、AWSの各種サービスを大量に利用している」と語った。

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翻訳=上田裕資

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