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2025.10.09 10:00

アマゾンは米警察の意思決定を奪うか──銃検知AIから補助金獲得までAWSが主導

bluestork / Shutterstock.com

約1.7兆円市場を狙い、元警察官が率いる専門チームが市場を開拓

このようなビジネスモデルは、110億ドル(約1.7兆円。1ドル=151円換算)規模の警察向けテクノロジー市場の一角を狙うアマゾンとその提携企業にとって、うまく機能している。米西海岸の複数の警察機関とのメール記録によると、ワシントン州出身の元警察官が率いるアマゾンの「法執行・学校安全チーム」は、新規顧客の開拓に積極的に動いている。アマゾンは、地方および連邦レベルの警察関係者が集まる会議やイベントで、自社製品のみならず、自社の巨大なクラウド基盤上で稼働する提携企業の監視ツールを幅広く売り込んでいる。そこには、下記の各社のテクノロジーが含まれている。

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・評価額75億ドル(約1.1兆円)のスタートアップ、Flock Safety(フロック・セーフティ)による車両追跡システム

・Flock社の傘下で米国市民の記録を数十億件単位で統合・分析するAIを開発するLucidus Tech(ルーシダス・テック)

・時価総額15億ドル(約2265億円)のC3 AIやRevir Technologies(リヴィア・テクノロジーズ)などが提供する「リアルタイム犯罪センター」と呼ばれる監視拠点向けのアプリ群

・累計調達額が8000万ドル(約121億円)のスタートアップ、ZeroEyes(ゼロアイズ)による銃器検知ソフト

・Abel Police(アベル・ポリス)やMark43(マーク43)などの警察報告書の作成を支援するAIソフト

・時価総額が4億4400万ドル(約670億円)のVeritone(ベリトーン)が開発するAIを用いて監視映像やSNSの投稿から個人を特定・追跡するテクノロジー

・刑務所内の受刑者の通話を「ほぼリアルタイム」で監視・文字起こしし、AIで分析するLeo Technologies(レオ・テクノロジーズ)の「Verus」と呼ばれるツール

フォーブスが公的記録の開示請求によって入手したEメールから、アマゾンが警察機関に監視技術を積極的に売り込んでいることが明るみに出た。あるメールでは、アマゾンの法執行・学校安全チームの責任者が、サンディエゴ郡保安局に対し、Lucidus Techの導入を強く勧めていた。「これは私が法執行機関向けに見てきた中でも最も驚くべきツールの1つで、応用範囲があまりに広いため、先入観を持ってほしくない。あなた方の刑務所情報チームなら、間違いなく度肝を抜かれると思う」と、その責任者は書いていた。

その当時Lucidus Techは、1200億件を超える記録を収めた社会保障番号や住所、メールアドレスなどを検索できる「人物データベース」を警察向けに販売していた。

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学校への導入戦略の提案まで、アマゾンは警察の意思決定に深く介入

2023年11月、同じアマゾンの担当者は、ワシントン州キング郡の警察署長に宛てたメールで、銃器検知ソフトZeroEyesの導入について「学校への導入戦略を話し合いたい」と持ちかけていた。別のメールでは、Flock Safetyのナンバープレート読取システムを道路に設置するため、「郡全体での機運を高めたい」と呼びかけていた。さらに、キング郡保安局が2024年にAIソリューションを検討していると知ると、「私はそのプロジェクトを担当している人物と直接話をしたい。他の機関とすでに進めている取り組みを共有し、この案件が“実験的な研究プロジェクト”で終わらないようにしたい」と提案していた。

AWSの広報担当アイーシャ・ジョンソンはフォーブスに対し、これらのメールが「通常の業務の一環にすぎない」と説明したうえで、同社が「市民の権利を守り、適用法令を遵守するためのツールを公共部門の顧客に提供することを目的としている」と説明した。

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翻訳=上田裕資

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