全国へ広がる「共有財産」としての地域資源は"つながり"
FactorISMで生まれたノウハウやアイデアは、全国各地で共有されています。オープンファクトリーで生まれたノウハウやアイデアを全国各地で共有する「オープンファクトリーフォーラム」は40回以上(9.20時点/近畿経済産業局 36回、東北経産局5回、中部経産局北陸支局1回、四国経産局4回、九州経産局1回)、開催され、それぞれの地域が学び合う場となっています。
これは「村のものは村で共有しよう」という日本の伝統的な概念を、現代に引き継いでいるようにも感じます。むしろ、それを地域全体で「共有財産」として分かち合うことで、全体の価値が向上するという考え方が、実施する団体間で浸透しているように思えてなりません。
直近では株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ、一般社団法人関西イノベーションセンター、福井のオープンファクトリーイベント「RENEW」を運営する一般社団法人SOEの3社で発足した、日本のものづくり産地に新たな循環を生むプロジェクト「KOGEI COMMONS」の誕生もその象徴的な事象ではないでしょうか。
これらは、従来のクラスター理論が「競争」によって特定の地域が勝者となることをめざすのに対し、オープンファクトリーは「共有」によってすべての地域が共に成長することをめざす、全く新しいアプローチです。これにより、地域間の不必要な競争が減り、互いの強みを活かした連携が促進されます。
持続可能性と世代交代への挑戦
2025年、FactorISMのプロジェクトが6年目を迎え、参加企業が92社、13市町村エリアへと拡大し、多くのコラボレーション、共創の好事例が生まれる中で、私も自身の役割を問い直すようになりました。それは、プロジェクトが自分一人の「熱量」に依存するのではなく、次世代へと継続できる「仕組み」へと昇華させることです。
若い世代の自発的な挑戦を阻害せず、彼らが自律的に成長する機会を与えるため、「文化祭を企画するように『自由に、楽しく、自分ごとに』」という考え方を浸透させるために、プロジェクトのタイトルに「アトツギたちの文化祭」と加えています。
また、行政と企業の関係性を「支援する側とされる側」から、対等な「パートナー」へと変えることにも繋がっています。行政が企業に対して義務感から支援するのではなく、対等な立場で互いの強みを活かすために対話とイベントを通じて同じ目標に向かって困難を乗り越えていくことで小さな成功体験を生むように各地域に支部を立ち上げてもらい、このプラットフォームを通じて、FactorISMの4日間だけでない関係性の構築を生み出し、行政と企業の協業関係が生まれるように仕組み化しています。


