経営・戦略

2025.10.07 08:00

コロナ禍で最高値を記録したモデルナ、ビオンテックの現在 トランプ政権下で逆風

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また、モデルナは米国市場への依存度がより高い。2024年の新型コロナワクチンの売り上げでは、米国が56%を占めていた。ビオンテック=ファイザー連合の場合、この数字は37%にとどまっている。

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2社連合は、米国市場で過半数のシェアを誇り、市場の約60%を獲得している。一方のモデルナの市場シェアは約40%で、後塵を拝する状況だ。2社連合はまた、欧州で複数の国の政府と複数年契約を締結し、こちらの市場では80%以上のシェアを確保している。

また、ワクチンの売り上げがピークに達していた時期に積み上げた数十億ドル規模の現金の扱いについても、ビオンテックとモデルナは異なるアプローチをとっている。モデルナは2021年以降、自社株買いに53億ドルを費やしたが、今振り返ってみるとこれは賢い投資とは言えない判断だった。さらに同社は、同時期に162億ドルを研究開発に投じている。その結果、2025年6月の時点で、同社のバランスシートに計上されている現金および証券類は75億ドルにすぎない。

金融情報会社Morningstar(モーニングスター)でディレクターを務めるカレン・アンダーセンはこう語る。「もしモデルナの経営陣が、新型コロナワクチンの需要がこのようになる(急減する)と知っていたなら、彼らは判断を変えていただろうか? おそらく変えていたはずだ。自社株買いはやっていなかったのではないかと思う」

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モデルナと比べると、ビオンテックは堅実な路線を歩んできた。2025年6月の時点で、同社は現金および投資資産で190億ドルを確保している(2023年からの2年間で研究開発に89億ドルを投じたが、現金などの額については2023年時点の195億ドルからほとんど減っていない)。また、モデルナとは異なり、自社株買いには18億ドル、2022年に実施した特別配当に5億2000万ドルを費やしただけにとどまっている。

「(ビオンテックの)バランスシートの方がずっと健全だ。他の企業と提携していることから、現金の消費額がはるかに少なくなっている」と、TDカウエンのウェルバーは解説する。

さらに、製品ポートフォリオに関しても、ビオンテックの方が幅広い。腫瘍学の専門家によって創業された同社は現在、がん治療薬に回帰する動きを見せている。昨年度には、中国のバイオテクノロジー企業Biotheus(バイオセウス)を8億ドルで買収した。バイオセウスは、免疫系に対してがん細胞を攻撃するよう促す抗体「BNT327」の開発企業だ。

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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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