経営・戦略

2025.10.07 08:00

コロナ禍で最高値を記録したモデルナ、ビオンテックの現在 トランプ政権下で逆風

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トランプ政権の政策が今後、これらの数字をさらに押し下げることは間違いない。FDAは2025年8月、モデルナとビオンテックの最新型の新型コロナワクチンを承認したが、その主な接種対象は65歳以上の高齢者に制限した。それより若い人で接種が推奨されるのは、新型コロナウイルス感染症による重篤な合併症のリスクが高いケースのみとされた。

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以前はすべての成人に接種が認められていたことからすると、これは政策転換を意味する。9月19日には、医療の主流から外れたメンバーからなる刷新後のACIPが開催され、一時は、すべての新型コロナワクチン接種に処方箋を義務づける案も検討された。そうなっていたなら、ルーティンのブースター接種を受ける一連の手続きが、現状よりはるかに煩雑になっていただろう。だが結局、同委員会は、従来通り処方箋は不要とする決定を下した。

投資運用会社William Blair(ウィリアム・ブレア)でバイオテクノロジー部門のアナリストを務めるマイルズ・ミンターは、「これらのワクチンが一般の人たちに提供される過程は、従来の医薬品の承認手続きとは非常に異なっている」と指摘する。「FDAからの承認を受けたとしても、その後さらに、ACIPからの推奨を受け、それがCDCに採用される必要がある。ここまでの過程を経てようやく、(医療保険の)支払人が、これらのワクチン接種を保険適用範囲とすることができる」 

モデルナは8月、2025年度の売上高予想を改め、15億~22億ドルの間になると下方修正した。これは、この範囲で最高の値になったとしても、前年比で32%減に相当する数字だ。ビオンテックは、2025年度の売上を20億~26億ドルと予測しているが、こちらも、最高値であっても2024年から20%落ち込むことになる。

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TDカウエンのアナリスト、タイラー・ヴァン・ビューレンは、「今年のワクチン接種シーズンがこれほど厳しい船出を迎えたことから考えると、(モデルナの)売上高は、同社予想の最低額あたりに収まる、と多くの人がみているはずだ」と語る。

両社を比較してみた場合、新型コロナワクチン需要の落ち込みに対しては、ビオンテックよりもモデルナの方がより脆弱であるようだ。モデルナは単独で新型コロナワクチンを開発したが、ビオンテックは巨大製薬企業のPfizer(ファイザー)と提携して開発にあたった。ビオンテックは利益を折半することになるが、そのぶん自社が背負うリスクを軽減できている。

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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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